2022 Fiscal Year Research-status Report
Sobolev-Orlicz embedding theorems for Dirichlet spaces and their probabilistic interpretation
Project/Area Number |
21K20326
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
森 隆大 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 助教 (80909911)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | Dirichlet形式 / intersection measure / random interlacement |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度ではrandom interlacementに関する研究を2021年度に引き続き行った. 複数の独立なマルコフ過程の軌跡が交差した量を測るintersection measureや, その本数が1本の場合に相当する滞在測度は時間tまでの情報によるために定常性がない一方で, random interlacementと呼ばれる対象は時間無限大までの軌跡をランダムにサンプルする確率場であるため定常性を持つ. 2021年度ではrandom interlacementをDirichlet空間の一般論の視点から考察し, 反射Dirichlet空間や周遊理論との関係性を調べたが, 2022年度では具体例としてNewton容量や対数容量およびそれらの平衡測度を, それぞれ対応する反射マルコフ過程の滞在確率および到達分布で表現することができた. 新規性のある例として, 半平面上のレヴナー微分方程式を構成する際に現れる半平面容量についても同様な結果を得た. 今後の展開として, まずp本の独立なマルコフ過程の軌跡のintersection measureについて, マルコフ過程をrandom interlacementに変えたものを反射Dirichlet空間や周遊理論を使って構成する. 先行研究である[Jay Rosen (2014)]では, マルコフ過程のグリーン関数を共分散に持つガウス自由場のp次ウィック積で作られる確率場と, random interlacementのp重点に関するself-intersection local timeから作られる確率場との関係を表す同型定理が示されている. 本研究でも類似の結果が得られないかを考察したい. さらに, ガウス自由場のウィック積をOrlicz空間の解析に使われる道具で一般化することで無限個のマルコフ過程に対するintersection measureとの関係を探る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の目標である, L^p-Katoクラス測度をOrliczクラスに拡張したものとOrlicz-Sobolev不等式の関係性は部分的に考察できたものの,確率論での対応物として考えられる無限個のマルコフ過程に対するintersection measureとして自然な定義が未だ定まっていない. また, マルコフ過程論にはRevuz対応と呼ばれる,ある集合への滞在測度とその集合へ制限した参照測度の関係を一般化した対応があるが, intersection measureは多重パラメータのマルコフ過程に関するRevuz対応の範疇に含まれると考えられる. Revuz対応の多重パラメータへの拡張を考察する際に, 通常のマルコフ過程における集合への最小到達時間が, 多重パラメータの場合には関数として定まらないために解析が難航している.
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Strategy for Future Research Activity |
以下の方策に従って今後研究を行う. 1) 無限個のマルコフ過程に対するintersection measureについて, 量子場の理論で無限個の粒子を扱う際の道具であるフォック空間を参考にして自然な定義を推察する. 2) 多重パラメータのマルコフ過程について, 特別な場合としてDirichlet空間のテンソル積と複数の独立なマルコフ過程が対応するが, まずこの場合でRevuz対応を考察する. 3) 研究実績の概要欄に述べたように, 確率場への応用に関してrandom interlacementのintersection measure版を反射Dirichlet空間や周遊理論を使って構成し, [Jay Rosen (2014)]の研究と比較してガウス自由場との同型定理を与える.
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Causes of Carryover |
2022年度では感染症蔓延の影響が改善され国内の研究集会への参加や研究打ち合わせが可能になったが, 海外での研究集会への参加はできなかった. 2023年度では国内外での研究交流を積極的に行う.
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