2021 Fiscal Year Research-status Report
Higher-dimensional category theory and its homotopical generalisation
Project/Area Number |
21K20329
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前原 悠究 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 学術研究員 (80905729)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | (∞,n)圏 / 高次圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の主目的は、従来のn圏とホモトピー的なn圏である(∞,n)圏の関係、特にそれぞれの持つGrayテンソルや形式的モナド理論といった概念について理解を深めることであるが、本年度は特に(∞,n)圏自体について以下の研究を進めた。 1)Simplicial setを用いて定義される (∞,n)圏と、cubical setを用いて定義される(∞,n)圏がQuillen同値である、つまり同じホモトピー論を持つことを示した。simplicialなGrayテンソルは既に研究が進められており、例えば厳密ω圏へのreflectionが従来のGrayテンソルと一致することが知られている一方、cubicalなGrayテンソルのほうがシンプルな定義を有しており、計算に使い易くなっている。今回の結果はsimplicialな先行研究とcubicalな計算を組み合わせることを可能にするため、Grayテンソルの理解を深める大きな助けになることが期待される。 2)simplicialな(∞,n)圏の理解を進めるため、standard simplexから自由に生成される厳密ω圏であるorientalが、(∞,n)圏としても自由であることを示した。一般にsimplicial setを扱うとき、議論をstandard simplexの場合に帰着させることが多くあるが、simplicial setを(∞,n)圏のモデルとして扱う場合は、standard simplexが合成を持たないことが問題になり得る。今回示したstandard simplexとorientalの同値性を用いると、そのような場合に自然な形で合成を導入することができるため、圏論的な感覚から導き出された議論を組合せ論的に容易な形で厳密化することが可能になる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも記した通り、概ね計画通り(∞,n)圏の理解を深めることができた。またstrong Steiner ω圏の計算に関する先行研究の勉強や、n圏のGrayテンソルと(∞,n)圏のGrayテンソルを比較する基礎的な計算も順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、(∞,n)圏自体の理解を深めることができたため、今後はn圏との関係についての研究を進める。Grayテンソルについては、既に比較のための射そのものの理解は十分に得られているため、その分解と構成要素の理解を深めていく。形式的モナド理論については、特に分配法則について研究していく予定である。
|
Causes of Carryover |
iPadとその付属品を購入するのに当該年度交付決定額のほぼ全額を使用したことにより、残額が非常に少なくなり、その用途がひどく限られたため、次年度使用額とした。 概ね当初の計画通り、翌年度分と合わせて旅費や書籍代に使用する予定である。
|