2021 Fiscal Year Research-status Report
Scattering theory and continuum limits of discrete Schrodinger operators
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21K20337
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
只野 之英 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 助教 (90908427)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 離散シュレディンガー作用素 / 散乱理論 / 連続極限 / 格子 / 量子ウォーク |
Outline of Annual Research Achievements |
離散シュレディンガー作用素は,(1)固体力学において,結晶固体中の電子状態の強束縛近似によって得られる作用素,(2)シュレディンガー作用素の空間離散化によって得られる作用素の2つの導出を持つ.前者の背景からは通常のシュレディンガー作用素とは異なる性質が得られることが期待される一方,後者の文脈からはシュレディンガー作用素と類似していることが要求される.さらに,どのような格子(正方格子,六角格子など)の上で離散シュレディンガー作用素を考察するかによっても性質が大きく異なることが知られている. 当研究計画では,離散シュレディンガー作用素の性質をスペクトル・散乱理論,連続極限を通じて明らかにし,シュレディンガー作用素との比較および格子を変更したときの性質の違いがどのように表れるのかも研究する.同時に,量子グラフ上のシュレディンガー作用素,量子ウォークなどの他の離散系に対しても本研究を用いた手法を応用し,それらのスペクトル・散乱理論的性質を明らかにする. 本年度では,量子グラフ上のシュレディンガー作用素の連続極限をとることによって,同作用素が連続空間上のシュレディンガー作用素に漸近することを証明した.正確に述べると,量子グラフの格子幅が0に近づくとき,連続空間上の関数空間と量子グラフ上の関数空間の間に適切な対応を与えることで2つの作用素の差を作用素論の文脈で定式化すると,その差が0に収束することを証明した.この結果の応用として,連続空間上のシュレディンガー作用素の固有値,固有関数が量子グラフ上のシュレディンガー作用素の固有値,固有関数によって近似できることも判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画で述べた連続極限の問題のうち,一部の課題に対して成果を得ることができたが,一般の格子の場合での連続極限にはまだ取り組めていない.また,磁場付き離散シュレディンガー作用素,量子ウォークに対するスペクトル・散乱理論についても着手し計算を始めているが,計算の進捗が当初の予定よりやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画で述べた課題のうち,量子ウォークに対してのスペクトル・散乱理論に優先的に取り組み,結果が得られ次第論文の形にしてまとめる.その後,磁場付き離散シュレディンガー作用素のスペクトル・散乱理論,連続極限を同時並行で取り組み,同様に結果が得られ次第論文にして結果を公表する.
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Causes of Carryover |
COVID-19による状況が改善せず,研究集会参加のための国内および海外出張が非常に限定的になったため.翌年度には当初計画と比較して多くの研究集会に参加する予定のため,次年度使用額の分を追加で予算計上する.
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Research Products
(6 results)