2022 Fiscal Year Research-status Report
Cosmology of non-linear axion evolution
Project/Area Number |
21K20364
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
殷 文 東北大学, 理学研究科, 助教 (20908719)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
|
Keywords | アクシオン / インフレーション / 非線形進化 / 格子計算 / 再加熱 / ドメインウォール |
Outline of Annual Research Achievements |
アクシオンによる位相欠陥であるドメインウォールの宇宙論的進化を格子計算を用いた数値シミュレーションで研究し、論文で成果を発表した(2205.05083, 2211.06849)。特に、宇宙の始まりであるインフレーション期に引き起こされた揺らぎによってドメインウォールが生成されると、ドメインウォールは非常に長く存在することを示した。このような長距離相関は、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の温度揺らぎのデータからも見えているように、すでに確かめられている宇宙インフレーションの予言である。本研究では、従来見逃されていたインフレーション揺らぎによる長距離相関を取り入れた。格子計算を行うことで、ドメインウォールの非線形的な進化において、その相関は保たれることを指摘し、「インフレーション揺らぎ由来のドメインウォールが不安定である」という長年の理解を覆す結果を得た。また、この結果により、新たなドメインウォール問題や、アクシオンドメインウォールが既存の等方宇宙複屈折の観測データを説明するシナリオとしての重要さが確固となった。宇宙論的な観測的なドメインウォールネットワークを宇宙の非等方的複屈折を通して観測する可能性について詳しく議論した。これらの観測データはLiteBIRDをはじめとする将来CMB観測実験でより精密化するため、複屈折からインフレーション期の情報を探るというアプローチも可能となることを示唆している。
本研究課題に関連する研究として、他に17本の論文を発表している(雑誌掲載、アーカイブ掲載含む)。国際・国内会議で関連研究成果を12回発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響により、海外出張を行い、エキスパートと協力して進めるべき研究内容に遅れている。 一方、当初予想していなかった方向での成果があった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、インフレーション揺らぎによるドメインウォール問題の解決方法や、そのマルチメッセンジャー的示唆、さらには宇宙の再加熱におけるプラズマの非線形的発展を調べる予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナにより、予定していた海外出張などが行えなかったため、次年度使用額が生じた。
|