2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of Gamma-Ray Bursts with Imaging Atmospheric Cherenkov Telescopes
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21K20368
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
須田 祐介 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (70910321)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | ガンマ線バースト / 高エネルギーガンマ線 / 大気チェレンコフ望遠鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ガンマ線バースト(GRB)の新しい観測手段として確立した大気チェレンコフ望遠鏡を用い、ガンマ線放射機構の解明に迫ることである。 MAGIC望遠鏡がGRBからテラ電子ボルトに達する高エネルギーガンマ線を初検出したことを皮切りに、GRBの残光の新たな物理(シンクロトロン自己コンプトン放射)が見えはじめた。この放射機構がすべてのGRBにも当てはまるのか、大気チェレンコフ望遠鏡で検出されたGRBが特別なのかといった新たな課題が生じている。系統的な議論を行うため、観測事実を積み上げていく必要がある。そのために、大気チェレンコフ望遠鏡で検出された3例目のGRBで、MAGICがその検出に成功したGRB 201216Cの解析と、MAGICが高エネルギーガンマ線の放射の兆候を捉えたGRB 201015Aの解析を中心的に行なってきた。特に、本研究者はGRB 201015Aの研究チームリーダーとしてプロジェクトを推進している。どちらのGRBについても、観測データを最大限に活かすため、低エネルギーガンマ線に特化した解析に取り組んでいる。得られた結果に理論的解釈を加え、論文として発表することを目指す。 一方で、さらなる観測数の増加に欠かせない次世代ガンマ線天文台CTAの大口径望遠鏡LSTについても、モンテカルロシミュレーションの開発に関わるなどしている。LSTの初号基LST-1は、MAGICと同じ観測サイトに建設されており、MAGICとの同時ステレオ観測が可能である。これにより、単体では得られないより高い感度での観測が可能となる。本研究者は同時観測データの解析チームにおけるまとめ役の一人として、プロジェクトを推進している。国際協力のもと、同時観測データの解析手法の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GRB 201216Cの赤方偏移パラメータは1.1と見積もられ、大気チェレンコフ望遠鏡で観測された最遠方の天体である。そのため、数100GeV以上のガンマ線は銀河系外背景光による吸収を強く受けてしまい、MAGICでは数100GeV以下の低エネルギーに特化した解析が重要である。本研究者は、国際協力のもとGRB 201216Cの解析に取り組んでいる。 GRB 201015Aは、MAGICが最初に検出に成功した明るいGRB 190114Cと比べ、赤方偏移パラメータは同じであるが、等方換算エネルギーは3桁も低いため、MAGICにとってチャレンジングな天体といえる。一方で、観測時の天頂角が比較的小さく好条件で観測できたため、このGRBについても、低エネルギーに特化した解析が有効であると考え、解析を進めている。 MAGICとLST-1の同時観測データは蓄積されつつあり、同時解析ツールとモンテカルロシミュレーションの開発を国際協力のもと順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
GRB 201216CとGRB 201015Aの解析を完遂し、理論的解釈を加え、論文として発表する。 並行して、同時解析データの解析手法を確立し、GRBの観測に挑戦したデータを解析する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行の影響で、観測シフトの取得や国際学会の現地参加ができず、旅費が発生しなかったため。国際交流が活発になってきたため、次年度は観測シフトの取得を通して望遠鏡の運用に貢献し、研究成果を国際学会において積極的に発表する計画である。
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