2021 Fiscal Year Annual Research Report
鍾乳石が記録する地磁気エクスカーションのSQUID顕微鏡による高分解能復元
Project/Area Number |
21K20377
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福與 直人 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (00908519)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 鍾乳石 / 古地磁気 / 岩石磁気 / 走査型SQUID顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
鍾乳石をダイヤモンドワイヤーソーを用いて0.1mmスケールの精度で精密裁断を行った。これにより試料サイズが小さくなったため、走査型SQUID (superconducting quantum interference device, 超伝導量子干渉計)顕微鏡による測定時においてより大きい範囲でバックグラウンド値の補正を行うことが可能となり、測定ノイズの低減に成功した。 一方で、試料の固定にこれまで用いてきた薄片用スライドグラス自体に微小な磁化が保持されており、これが測定時のノイズになることが明らかになった。そこで本年度は、純度や製造方法の異なるスライドグラスを複数種用意して、鍾乳石の走査型SQUID顕微鏡による磁気測定により適したスライドグラスの選定を行った。 また、走査型SQUID顕微鏡による磁気測定により確認された、鍾乳石中の磁気特性の変化について、エネルギー分散型X線分析装置搭載型走査電子顕微鏡(SEM-EDX)による観察と元素分析を行った。測定結果については更なる検討が必要であるが、走査型SQUID顕微鏡による磁気特性の変化とSEM-EDXによる分析結果は整合的であった。 想定されるシナリオとしては周辺の火山噴火による、鍾乳洞上部に被覆する土壌の酸性化などが挙げられるが、このシナリオの検討に関しては、蛍光X線分析法や誘導結合プラズマ質量分析法などの化学分析を組み合わせて、統合的に検討する必要がある。
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