2022 Fiscal Year Annual Research Report
スロー地震活動を組み込んだ新たな地震活動統計モデルの構築
Project/Area Number |
21K20382
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西川 友章 京都大学, 防災研究所, 助教 (10909443)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | スロー地震 / 地震活動統計モデル / 地震発生確率予測 / 沈み込み帯 / スロースリップイベント |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である令和4年度は、研究成果の公表に注力した。具体的には、研究課題(A)「スロースリップイベント(SSE)のモーメントレートを陽に組み込んだ新たな地震活動統計モデルの構築」と研究課題(B)「日本海溝におけるスロー地震と地震活動の因果関係の解明」に関する論文執筆・改訂作業、追加解析を行なった。 課題(A)では、ニュージーランド・ヒクランギ沈み込み帯において、SSEのモーメントレートを陽に組み込んだ地震活動統計モデルを世界で初めて構築した。また、本モデルを用いた解析により、ヒクランギ沈み込み帯では、SSEに伴い、従来の地震活動物理モデル(Dieterich, 1994)では説明できない地震活動が発生していることを示した。これらの成果をJournal of Geophysical Research誌に投稿した。現在、論文の改訂版を同誌に投稿し、編集者の確認作業中である。 課題(B)では、海底地震観測データを使用して、日本海溝沿いにおいて網羅的なスロー地震(テクトニック微動)検出を実施し、2016年8月から12月までのスロー地震の詳細な時空間分布を解明した。さらに、過去の地震活動観測データと、スロー地震観測データを網羅的に比較することで、関東地方東方沖ではスロー地震による地震活動の誘発現象が頻繁に発生していることを明らかにした。これらの成果を、Progress in Earth and Planetary Science誌に公表した。 研究課題(C)「日本海溝の地震・スロー地震活動への新たな統計モデルの適用」に関しては、上記の課題(A)(B)に注力したため、大きく進めることはできなかった。しかし、本研究の最大の目標「スロー地震活動を組み込んだ新たな地震活動統計モデルの構築」は達成できた。今後このモデルを、日本海溝をはじめとする、世界各地の沈み込み帯の地震活動に適用する予定である。
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Research Products
(4 results)