2021 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical modeling of planetesimal formation in protoplanetary disks based on combined effects of disk dynamics and dust coagulation
Project/Area Number |
21K20385
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
冨永 遼佑 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 基礎科学特別研究員 (10908338)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 原始惑星系円盤 / ダスト / 微惑星 / 流体不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
惑星の形成過程は未だ明らかになっていない.特にその前駆体である「微惑星」の形成には様々な困難があることが知られており,現在盛んに研究が行われている研究課題である.本研究は,惑星の形成現場である原始惑星系円盤の不安定性に注目し,それに基づくダスト成長・微惑星形成を明らかにすることを目指す.特に本研究で注目するのはダスト成長が駆動する新しい不安定性(coagulation instability)である. 当該年度は,動径方向1次元のダスト進化計算を行いcoagulation instabilityに対する衝突破壊・ダストからガスへの反作用の影響を調べた.その結果以下のことがわかった:(1)臨界衝突速度が3m/s以上かつ近年観測的示唆のある弱乱流円盤の場合にはcoagulation instabilityが成長し,ダスト濃集とサイズ成長の加速が起こる,(2)赤道面付近でのダスト-ガス比が1程度になるまでダスト濃集が進み,幅1au程度・半径数10au程度のリングを形成, (3)濃集の結果ダストの衝突速度が低下し,破壊を回避したサイズ成長がリング内で可能になる, (4)ダストリングでは,微惑星形成機構として従来提案されてきた他の不安定性が成長可能である.以上の結果は,従来微惑星形成の困難と考えられてきた衝突破壊問題がcoagulation instabilityによって解決できる可能性を示唆している.また濃集によりダストの移動速度が下がるため,ダスト落下問題も解決できる可能性も示唆された. 以上の研究成果をまとめた論文を2編投稿準備中である.またcoagulation instabilityの線形成長過程に関する論文が1編出版された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に行った1次元計算は,今後実施予定の多次元計算やサイズ分布を考慮した計算など発展的な研究に向けた基盤となる.実際,衝突破壊の効果を取り入れた計算を行ったことで,coagulation instabilityの進化や必要条件に対する理解が進んだ.ガス円盤形成・進化過程なども今後考慮してより現実的な計算を行う必要はあるが,これまでの成果をまとめた論文も2編投稿準備中であり,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に行った計算により,リング内のダストとその周囲のダストとではサイズが1桁異なることがわかった.その状況では大小ダストの追い抜きが起こり得る.しかし現状の1次元コードではダストサイズ分布を考慮していないため,非線形発展の途中段階までしかシミュレーションできない.この課題を解決するために,次年度はダストサイズ分布の進化を直接計算するシミュレーションを主として行い,coagulation instabilityへの影響を探求する.特に上記の問題が現れる非線形発展段階でのサイズ分布の影響を理解することを目指す.当初予定していた多次元計算ではサイズ分布の進化は記述できないが,ダスト同士の追い抜きは取り入れることができるため,その計算に向けたコード開発も並行して進める予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により,予定していた国内・海外出張が中止/延期になってしまったため.次年度使用額はまず物品購入費に使用する.また引き続き新型コロナウイルスの感染拡大状況を考慮しつつ,国内・海外出張が可能な場合には出張旅費にも使用する.
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Research Products
(10 results)