2022 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive Survey of Elemental Abundances of Nearby M Dwarfs with Planet Search Data
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21K20388
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Research Institution | Center for Novel Science Initatives, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
石川 裕之 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, アストロバイオロジーセンター, 特任研究員 (00910902)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 光赤外線天文学 / 高分散分光 / 化学組成 / 低質量星 / 系外惑星 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、M型矮星を周回する惑星の特徴づけに不可欠な、M型矮星自体の化学的特徴について、先行研究の乏しい3000 K以下の低温の天体も含めた統一的な理解を目指すものである。前年度までに、本研究で用いる新しい解析手法の1つである、M型矮星の近赤外高分散スペクトルから個々の元素の存在量を測定する方法を、13天体に適用して査読論文(Ishikawa et al. 2022)として発表している。また、その手法の妥当性を確かめるためにM型矮星と太陽型星からなる連星系の観測データを解析した結果についても、研究会等で発表してきた。 最終年度には、この手法を実際にすばる望遠鏡を用いて行われている惑星探索プロジェクト(IRD-SSP)のターゲットの大半に適用することで、初めて70天体ものM型矮星の有効温度と化学組成を統一的に推定することに成功した。IRD-SSPの方針転換により、本研究の申請当初の目標だった100天体以上という数には到達しなかったものの、ナトリウムと鉄の存在量の関係に見られる傾向についての示唆など、M型矮星の化学について新たな知見は十分に得られたといえる。また、FeH分子の吸収線を用いた有効温度の推定についても検討を重ね、上記70天体の解析時は、化学組成と同時に自己矛盾なく有効温度も推定した。 一方で、晩期M型矮星と呼ばれる特に低い有効温度(< 3000 K)を持つ天体のスペクトルでは、複雑な分子吸収線が解析に必要な原子吸収線を覆い隠してしまうため、上記の解析手法だと結果の精度が低いことがわかっていた。前年度から引き続き、元来は惑星質量天体の解析のために開発された効率的スペクトル計算コードExoJAX(Kawahara et al. 2022)の拡張開発を行い、特定の波長域では既にM型矮星の各大気層の温度や各分子種の存在量などを同時に推定することができるところまで達成した。
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Research Products
(8 results)