2021 Fiscal Year Research-status Report
Vibration Pumping System for Utilization of Lunar Regolith Particles
Project/Area Number |
21K20399
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安達 眞聡 京都大学, 工学研究科, 助教 (90908386)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 月探査 / 月土壌 / 粉体ハンドリング / 振動搬送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,長期月面探査を実現するために不可欠な月土壌粒子ハンドリング技術として,萌芽的技術である垂直振動粉体ポンプシステムに着目し,その月土壌に対する搬送特性と粉体動特性に関する基礎理論を構築することである.この技術は,振動するパイプを粉体層に垂直挿入することで,その中を粉体が液体の毛細管現象のように上昇するということを利用して粉体を搬送するものである.これまでの研究ではガラス粒子のような均一粒子に対する地上環境下での搬送特性しか調査されていないのに対し,本研究では実験と数値解析により,月土壌のような自然に存在する不均一粉体の機械的性質や宇宙特有の環境条件が粉体動特性に及ぼす影響を明らかにする. R3年度は,振幅や周波数等の振動条件が容易に調整可能なクランクスライダー加振機構を使用した垂直振動粉体ポンプシステムの実験装置を作成した.さらに,複数カメラを使用した撮影機器と画像解析プログラムを作成し,搬送中の粒子上昇挙動を解析するシステムを構築した.月土壌シミュラントFJS-1を電動ふるい機により任意の粒度分布に調整して,実験試料として使用した.各粒径毎のガラス粒子と月土壌シミュラントに対して,振動条件が粉体上昇挙動に及ぼす影響を調査したところ,不均一な形状を持つ月土壌シミュラントは流動性が低く,ガラス粒子の搬送と比較してその搬送性能が低下することを確認した.そこで,これまでの単一の振動パイプではなく,複数のパイプを使用した実験装置を作成して搬送試験を行ったところ,粒子の搬送性能が改善することを確認した.また,R4年度に実施する予定であった数値解析について,個別要素法を使用したソフトウェアによる調査の準備にも着手した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会情勢の影響を受けた物流の停滞により,実験システムの構成要素である各種機器の準備に時間がかかり,想定していたよりも実験開始の時期が遅れたことによって,計画していた全ての実験パラメータについて調査が行えていないが,基本的な実験装置の準備が完了し,予備試験において想定していた結果が確認できたため.また,R4年度着手予定であった数値解析の面でも進展があったため.
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Strategy for Future Research Activity |
R3年度はゼロから研究環境を構築したということもあって,全体的に準備期間が多くなったが,必要な実験システムを構築することができたため,R4年度はそれを調整・使用して,R3年度に取り組む予定であった実験パラメータについて調査を行う.また,当初の予定通り,数値解析を使用して,重力加速度などの宇宙環境条件が粉体ダイナミクスに及ぼす影響についても調査を行う.
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Causes of Carryover |
社会情勢の影響を受けた物流の停滞により,実験システムの構成要素である各種機器の準備に時間がかかり,想定していたよりも実験開始の時期が遅れたことによって,実施できなかった実験を次年度に実施するため.また,学会発表などを本年度に行わなかったため,それも次年度に実施する予定である.
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