2021 Fiscal Year Research-status Report
多自由度アクチュエータを用いた眼球マスタスレーブシステムによる遠隔操作の高度化
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21K20404
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
部矢 明 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80911297)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | アクチュエータ / 多自由度機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロボットの遠隔操作による人やモノを含む環境での協働作業・相互作用において視覚情報は必要不可欠であり,精確かつ緻密な作業を実行するためには,未知環境の遠隔地でも高い空間認識能力が必要となる。しかし,既存のロボットの立体視システムでは互いに固定された2眼カメラを用いるため,空間認識範囲が狭く,奥行き方向の空間分解能を高めることが困難である。そこで,人が2つの眼球を相対運動させることで認識範囲を拡大し,奥行き方向に高い空間分解能を実現していることに着目した。本研究では,人の眼球と同様に1台で多自由度回転が可能かつ眼球と同等サイズの多自由度アクチュエータを用いて2眼駆動機構を開発する。そして,人とロボットの眼球の協調動作を実現するマスタスレーブ制御系を構築し,遠隔操作でのマニピュレーションにより2眼視覚インタフェースとしての有効性を評価する。 本年度は,2眼駆動機構を構成するための多自由度アクチュエータの制御手法を提案した。本アクチュエータはスター結線された4コイルと4個の永久磁石で3自由度駆動を行う。まず,3自由度の運動方程式,トルク発生式,回路方程式を導出し,機械的・電気的ダイナミクスを表現可能な数学モデルを構築した。そして,疑似逆行列を用いて4コイル通電時に発生するトルクベクトルを直交座標系上に射影する新しい座標変換行列を導き,4相電流で3自由度回転可能であることを動作シミュレーションから確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
眼球マスタスレーブシステムを構築する上で多自由度アクチュエータの運動制御法の確立は根幹となる。本年度において理論的に制御可能であることが明らかとなったとともに,アクチュエータの試作機を製作していることから,おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,製作したアクチュエータの試作機の運動性能を測定するとともに,提案した制御法により実際に駆動可能であることを確認する。また,視線計測装置を用いて人の眼球の姿勢変化を計測し,アクチュエータに対して同様の運動を行わせるマスタスレーブシステムを構築する。
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Causes of Carryover |
半導体および樹脂の不足の影響から駆動回路に用いる電子部品およびコネクタの供給が間に合わず,次年度使用額が生じた。
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