2021 Fiscal Year Research-status Report
ナノ構造制御による多機能性磁気熱電変換複合材料の創製
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21K20408
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
三浦 飛鳥 九州工業大学, 先端基幹研究センター環境エネルギー融合研究センター, 助教 (10911274)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 熱工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、金属細線材料を対象として、自己ジュール加熱法によって熱伝導率を定常状態で高精度に測定可能な測定系の構築を行った。自己ジュール加熱法とは、金属材料に一定の電流を流すことで発生するジュール熱による温度変化および定常熱伝導方程式から熱伝導率を求める手法である。近年、微細化・高速化により発熱密度が高まっているシリコン集積回路や、高い電力を制御するため発熱量が大きいパワー半導体において、熱設計の重要性が高まっている。このような半導体デバイスでは、配線に使用するボンディングワイヤの熱物性も要求される。また、直径1~100 μmのマイクロメータースケールの細線を用いた熱工学は、ウェアラブル用途で盛んに研究されている細線を編んだ熱電素子を用いたデバイスなど、放熱、熱伝導、熱電変換の分野で注目されている。しかし、マイクロメータースケールの細線の熱物性はその取り扱いや放射熱損失により正しい測定が困難であった。加えて、マイクロメータースケールでは、工業的な要求から、ミリメートルスケールの材料と同じように高精度の配線が行われるが、測定ははるかに複雑になるため、より困難なものとなる。このような背景から、細線状試料の熱物性を正確に測定することは非常に重要である。 本研究では、自己ジュール加熱法を用いて金属細線材料の熱伝導率を高精度に測定する手法を開発し、300 K~ 350 Kでの金・ニッケル・チタン細線の熱伝導率を測定した。金・ニッケルなどの比較的熱伝導率の高い金属細線材料に対しては、本研究で提案する手法を用いて熱伝導率を高精度に測定できることを示した。一方で、チタンなどの比較的熱伝導率の小さな金属細線材料は、測定の再現性は高いものの、熱伝導率の大きな材料に比べ、周囲環境の真空圧力の影響が強く測定誤差は大きくなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多機能性磁気熱電変換複合材料の熱電変換性能を測定するための測定系の構築が概ね完了した。また、複合材料の合成も並行して行っており、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
合成条件を変え多機能性磁気熱電変換複合材料の作製を行い、その熱電変換性能の構造依存性およびサイズ依存性を調べる。そこから多機能性磁気熱電変換複合材料の高性能化に向けた各キャリア輸送の独立制御を実現するための構造設計指針を得る。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた物品の納期延期のために年度内での納入が不可能であったため助成金の年度繰越を行った。当該物品は今年度購入予定である。
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