2021 Fiscal Year Research-status Report
粒子分散液の液膜乾燥過程における表面の粒子分布と毛管流およびクラック発現の関係
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21K20410
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Research Institution | Sanjo City University |
Principal Investigator |
若木 志郎 三条市立大学, 工学部, 助教 (80912261)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 粒子分散液 / 表面張力 / 毛管現象 / 薄膜 / 乾燥 |
Outline of Annual Research Achievements |
粒子・分子分散液膜の乾燥工程では,粘度などの流動特性,表面張力やぬれ性といった表面物性,分散粒子の体積分率,膜厚などの形状など様々な因子が膜全体において均一ではなく,分布を有し,さらに乾燥において過渡的に変化することで薄膜の最終的な品質に影響を及ぼす.本研究では①粒子分散液における液表面の粒子の存在が表面物性に与える影響を詳細に調べ,②液膜乾燥工程におけるクラックの発生と粒子配置の関係性を実験的に明らかにすることを目的としている. 2021年度は①について液界面において作為的に粒子を存在させ,粒子位置と毛管力の関係を定量的に評価する技術の構築を目指し,その実験装置の構築と実験を行った.装置は,疑似二次元のキャピラリーブッリジを利用したもので,重力の影響を排除し,巨視的に毛管力(ラプラス圧)を評価でできる.実験の結果,界面に存在する粒子の数の増加につれてラプラス圧が変化し,それには粒子の存在位置や配置の順序が大きく影響を及ぼすことが分かった.本結果については,国際誌への投稿を準備している.②については,液膜乾燥工程おける粒子分布(分散粒子の濃度分布)を画像で取得する手法を構築し,その検証を行った.その手法では乾燥工程におけるナノ粒子の移動を分布としてとらえることができ,クラックの発現と分散粒子の分布の関係性を調査するうえで有用な手法となる.その手法について,現在国際誌へ投稿し,査読審査中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,界面に存在する粒子がその系の表面物性に及ぼす影響についてまとめ,国際誌への投稿をすることを予定していたところ,粒子の存在位置により,毛管力などの表面物性に変化を及ぼすことを実験により確認できてはいるが,論文投稿までには至っていない.2021年に大学が開学したこと,および開学前より設立業務にかかわっていたことから,学内における想定外の業務が多く発生し,本研究に対して十分なエフォートが割けなかったことが遅滞の要因である.しかし,2022年度は開学2年目ということもあり,昨年度と比べ,十分に研究時間を確保することができることから,この遅れについても十分に挽回が可能である.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の本研究における課題は,①界面粒子の存在と毛管力の関係性についての体系化と,②液膜の乾燥工程における粒子の体積とクラックの関係性の評価である.①については2021年度において界面の粒子の存在位置が毛管力に対して大きな影響を及ぼすことが明らかになったため,その評価手法およびその関係性の体系化を目指し,さらなる詳細な調査からデータの精査を行う.②については,分散粒子のサイズに合わせて,粒子の直接観察や,前年度までに構築した粒子濃度の分布測定手法などを用いて,クラックの発現の可視化実験を試み,粒子配置とクラック発現のメカニズムを明らかにする.
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