2021 Fiscal Year Research-status Report
キャビテーションクラウドの非定常挙動と衝撃波現象の解明に関する研究
Project/Area Number |
21K20414
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
牛奥 隆博 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (50884673)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | キャビテーションクラウド / 衝撃波 / 粒子法 / 混相流解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
キャビテーション気泡の集合体はクラウドと呼ばれ,集団的なリバウンド挙動を示すことで知られている.特に,クラウドの圧壊時に非常に強力な衝撃波が発生するとされ,実験的観測と数値解析の両面からの詳細な調査による現象のメカニズムの解明は重要な課題として位置付けられている.そこで,本研究では,パルスレーザーの照射により静止流体中への水ジェットの噴射を行い,それに伴って発生するキャビテーションクラウドについて,高速度カメラを用いた観測実験と粒子法を用いた数値解析の両面から現象の詳細な調査を行う.本年度はSPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)法に基づく,気液混合体モデルを用いた二次元の流れ場の解析を実施し,混相流の流れ場の観点からクラウドの初生からリバウンドするまでの非定常挙動,およびクラウドの圧壊に伴う衝撃波の発生と伝播について数値的な調査を行った.令和3年度の主な研究成果としては,(1)水ジェットと双子渦の流れ場の中でクラウドの初生が起き,そして双子渦はクラウドの界面に沿って運動していくこと,(2)双子渦の運動に伴い,クラウド界面の運動が成長から収縮に切り替わり,最終的に全てのクラウド界面が収縮運動を示して激しい圧壊が誘起されること,(3)mmオーダーのクラウドが圧壊することにより,MPaオーダーの衝撃波が複数発生し,媒質の音速に近い速さで周囲に伝播していくこと,以上3点が数値解析の結果より明らかになった.上記の成果については,国際会議にて1件,国内会議にて2件の口頭発表を行っている.特に国際会議における発表ではBest Presentation Awardを受賞し,研究成果が認められている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はSPH法に基づいた二次元の流れ場の解析による詳細な調査を行うことによって,従来の研究では明らかにされてこなかった,混相流の流れ場とクラウドの非定常挙動・衝撃波現象の関係に関する重要な知見を得られている.また,上記の調査に伴い,解析条件や解析方法の再検討を行ったため,今後予定している三次元の流れ場の解析も問題なく実施可能となっている.一方で,クラウドの非定常挙動と衝撃波現象の同時観測実験についても良好な観測結果が得られており,雑誌論文としてまとめる準備を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では,二次元の流れ場の数値解析と同時観測実験によるクラウドの非定常挙動と衝撃波の発生・伝播の調査を行ってきた.今後の研究では,これまでの二次元の解析で得られた知見に基づいて,観測実験の結果との比較・検討やモデル化が必要であると考えられるため,令和4年度では具体的に,(1)SPH法に基づく二次元の流れ場の解析と同時観測実験の比較・検討,(2)PIV法によるクラウド周囲の流れ場の観測実験の実施,および二次元の流れ場の解析との比較・検討,(3)クラウドの界面における不安定性の観点からの現象の説明,に取り組む予定である.ただし,数値解析では圧力入力により水ジェットを生成しているのに対して,観測実験ではパルスレーザーの照射により水ジェットを生成しており,数値解析結果と実験の観測結果には,水ジェットの生成の違いに起因すると考えられる相違点が見られる.そこで,数値解析において,パルスレーザーの照射による噴流の生成をモデル化することも今後の課題として挙げられる.また,一方で,これまでの二次元的な調査のみならず,三次元的な調査も現象解明に重要であるため,(4)三次元的なSPH法に基づく三次元の流れ場解析の実施,(5)クラウドの三次元形状の観測実験の実施,にも取り組む予定である.
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Causes of Carryover |
外部のスーパーコンピュータを利用した粒子法による三次元混相流解析を行えていなかったため,その使用料金としての利用がなかったのが大きな理由である.使用計画としては,令和4年度より三次元混相流解析の本格的な実施を開始するため,当初の予定通りスーパーコンピュータの使用料金として利用したいと考えている.
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Research Products
(3 results)