2022 Fiscal Year Annual Research Report
合成開口望遠鏡による高分解能リモートセンシングのための空間光変調を用いた波面補償
Project/Area Number |
21K20439
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
広瀬 真 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (30908760)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 波面補償 / MEMS / リモートセンシング / 地球観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、確率的並列勾配降下(SPGD: Stochastic Parallel Gradient Descent)アルゴリズムにもとづく、合成開口望遠鏡の波面制御技術を確立することを目的としている。昨年度までに、波面収差関数列を基底とするモード分解SPGDアルゴリズムを構築し、従来法と比較して約1桁高速に波面制御を達成できる新手法を提案した。そして、イメージフィルムと微小電気機械(MEMS: Micro-Electro-Mechanical-System)式フェースシート形状可変鏡を備えた結像光学系を構築し、単一開口ならびに二開口の波面制御実験に成功した。今年度は、高輝度液晶ディスプレイとマシンビジョンレンズを実験系に導入し、ディスプレイに投影された地上シーン映像を望遠観察する小型望遠鏡システムを構築した。そして、提案したモード分解SPGDアルゴリズムを適用し、瞳位置に配置したMEMS式フェースシート形状可変鏡を制御することにより、光学系に与えた初期波面収差を高精度に除去できることを確認した。また、波面制御に適した地上シーンを判断するための画像特徴量として、画像強度の自乗標準偏差が有効であることを見出した。さらに計算機シミュレーションを用いて、18分割鏡から成る267波面制御変数の同時最適化による合成開口が達成できることを確認した。以上の実験結果および計算結果を踏まえると、合成開口望遠鏡による高分解能地球観測に不可欠な波面制御手法を獲得できたと言え、当初に設定した研究目的が達成されたと考えられる。
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