2021 Fiscal Year Research-status Report
Modeling the supply side for the analysis of E-commerce-driven transportation
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21K20445
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
坂井 孝典 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (20910780)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 交通モデル / Eコマース / 立地選択 / 配送計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画に記載された4つの意思決定事項の内、主に以下の3つについてシミュレーションモデルの構築に向けた作業をおこなった。
①物流施設立地選択:東京都市圏を対象とし、Eコマースにおいて利用される、大手宅配業者の端末配送センターを主とする施設と、賃貸型の大型物流施設の立地についてデータを収集し、データベースを構築した。また、公開されているの各種統計データを元に3メッシュ(1km x 1kmポリゴン)の土地データを作成した。これらのデータを基に、端末配送施設と大型物流施設の立地選択モデルを構築した。これにより、近年の物流施設立地に関する土地特性への選好が定量的に評価でき、また、土地特性の変化による将来立地が予測できるようになった。また、パリ、ニューヨーク、東京、上海、ソウルの施設の立地動向との比較を、他の研究機関との共同研究として行った。 ③配達計画:東京都市圏を対象とした都市貨物の配達計画のシミュレーションモデルを構築・実装した。また、このモデルの入力データである、貨物輸送用の車両や、事業者間の貨物流のデータを作成した(下④に関連)。これにより、対象地域の貨物流に基づく貨物車両の動きをシミュレートできるようになった。一方、本研究課題に関連し重要な入力データであるEコマース世帯需要について、適切なデータが無く、別途、モデルを構築し、推定する必要がある。このため、まず、Eコマース世帯需要に関する詳細なデータが公開されているニューヨーク市について分析を行い、得られた知見を基に、Eコマース需要・消費者特性に関するオンライン調査を設計した。 ④施設間貨物輸送:施設間の商品流通モデルや配送計画モデルを用いてシミュレートすることが可能なように、東京都市圏のネットワーク、及び、事業所データを、東京都市圏物資流動調査を含む、各種データに基づいて整備し、シミュレーションモデルを実装した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、Eコマース物品配送に関連して、主に4つの供給側の意思決定を対象に研究を行っているが、研究実績の概要に記した通り、内2つ(①物流施設立地選択と④施設間貨物輸送)については概ね完了し、1つ(③配達計画)については大いに進んでいる。物品配送の最終発送施設の選択(②)と③については、当該年度に利用可能なデータの把握を終え、主に次年度に取り組む予定であり、当初の想定通りの進捗状況であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
Eコマース物品配送に関わる事業者の意思決定についてモデルを構築するため、大手宅配業者の協力に基づく配達に関連したデータを用いることが理想であり、当該年度はデータ収集の可能性を模索していた。情報収集の結果、事業期間中にデータを収集することが困難であることが明らかになっている。このため、配達に関しては、第5回東京物資流動調査(2013年)で収集された事業所アンケートと車両運行データ、大手宅配業者の施設のタイプ別立地、世帯・事業所の空間分布等のデータを活用し、研究実施計画の②(物品配送の最終発送施設の選択)と③(配達計画)に関して、モデル構築、実装、(利用可能なデータに基づいて)キャリブレーションを行う。(今後、より質の高いデータが利用可能になった場合は再度キャリブレーションする。)また、各モデルを組み合わせて用いることで、Eコマースに関連する交通影響に関して評価を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により予定していた国外での学会に参加できなかった。(オンライン会議やプレプリントを含む公開論文のレビューで情報収集を代替した。)また、当初想定していた企業を対象とした調査を実施することができなかった。(代わりに、公表されているデータの利用可能性を検証した。)また、当初購入を予定していた備品について、よりシミュレーションに必要なコンピュータのスペックが明確となる次年度に購入を延期することとした。 これらの差額分については、それぞれ、学会参加費用、追加データ収集(Eコマース世帯需要など)・分析の補助に係る費用、コンピュータの購入のために次年度に使用する。
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