2021 Fiscal Year Research-status Report
大気-海洋-河川結合モデルの構築と複合氾濫に対する脆弱性の評価
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21K20447
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
豊田 将也 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70908558)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 複合氾濫 / 大気-海洋-河川結合モデル / 台風 / 高潮 / 洪水 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は3段階の研究計画のうち,1段階目の「大気-海洋-河川結合モデルの構築」および2段階目の「過去事例による検証」の2項目に注力して研究を進めた.結果として,両項目を達成することができた.まず,結合モデルの構築においては,気象場を気象モデルWRF,降雨流出を降雨流出氾濫モデルRRI,波浪・高潮・氾濫計算を波浪・高潮結合モデルSuWATで構成した.結合境界で問題となっていたRRIとSuWATの不連続性に関しては,当初の予定通りSuWATの境界に放射条件を適用することで解決した.また接合境界からはRRIからの流量を入力するが,SuWAT内の河川幅および水深の情報を元に,時々刻々変化する流量を水位に変換することでシームレスな結合に成功した.過去事例としては,2018年台風21号,2018年台風24号,2019年台風19号の3事例を選定し,気象モデルと降雨流出モデルを用いてSuWATの入力場を整備した.いずれの台風事例においても洪水流および高潮遡上を再現することができた.また,2018年台風24号のケースでは,最も大きな被害となった愛知県東三河地方を対象とし,一級河川と二級河川を同時に計算対象とすることで,中小河川の複合氾濫リスクについても検討した.その結果,二級河川では一級河川に比べて,最大で約7倍の複合氾濫リスクがあることを明らかにした.次年度は予定通り,極端事例を対象とすることで包括的なハザードの評価へとつなげる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では過去事例は2018年台風21号に選定していたが,事例数を増加させることができた.その結果,我が国における3大湾にそれぞれ襲来した事例を選択することができ,同様にモデルのセットアップも完了することができた. 以上より,当初の計画以上に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の予定通り,極端事例への検討に進む予定である.我が国の3大湾を中心に,複合氾濫に対する脆弱性を評価する.その際には,将来気候データを入力とした将来発生し得る最大クラスの台風による災害を想定した複合氾濫リスク評価を実施する予定である.
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