2022 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリート内の鉄筋腐食探査のための腐食速度トモグラフィーの計測基盤の確立
Project/Area Number |
21K20456
|
Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
橋本 永手 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 研究官 (50909877)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 電気化学測定 / 交流インピーダンス / 鉄筋腐食 / 鉄筋コンクリート |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄筋コンクリート構造物の劣化の一つに鉄筋の腐食がある.コンクリート中の空隙水はpH12~13の強アルカリ性であるため,鉄筋は表面に不動態皮膜を形成し,腐食しにくい状態にある.しかし,コンクリートの中性化や外部から侵入する塩化物イオンの影響によって鉄筋は腐食し,その腐食反応に伴う鉄の体積膨張によって,コンクリートにひび割れが生じる.一般に,このひび割れを腐食ひび割れと呼ぶ.鉄筋の腐食は進行するほど補修・補強が困難になるため,腐食ひび割れの発生前に鉄筋の腐食を把握することが重要となる. 鉄筋の腐食状態を把握する計測方法として,交流インピーダンス法がある.一般的な交流インピーダンス法は測定装置と鉄筋を導線で接続する必要があることから,掘削などの工程で構造物を一部はつり出す必要があり不便な場合がある. 申請者らは,本検討の中で鉄筋と測定装置を接続することなく3電極法と同じインピーダンススペクトルが得られる手法を開発した.本検討を用いれば,構造物表面に電極を張り付けるだけで,コンクリート内部の鉄筋の腐食状況が把握できる. 鉄筋の腐食は,コンクリート中という目視不能な状態で進行することから,コンクリート工学の中でも難しく重要な劣化として位置づけられている.仮に,潤沢に維持管理予算があれば,詳細な状況を把握せずに構造物全体に対策を施すという選択肢もあり得るが,現実的には予算が最もクリティカルな制約であり,可能な限り効率的で効果的な対策を講じることが求められる.そのためには,構造物内のどの部分が腐食しているかを把握することが極めて重要である.高度経済成長期に建設された構造物はいよいよ劣化が顕著化してくる頃であり,膨大な構造物のストック量を考えれば,検査は簡便であることが望ましい.このような背景の中,本手法は検査のハードルを下げるものであり,構造物の維持管理に大きく貢献し得ると思われる.
|