2022 Fiscal Year Research-status Report
行動と環境の相互浸透からみた視覚障害者の空間認知に関する研究
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21K20457
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平井 百香 東北大学, 工学研究科, 助手 (40882593)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 視覚障害 / 空間認知 / 環境 / 行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、視覚障害者自身が環境を構築している自宅に着目し、空間の設えと空間内での行動の特性を一体で捉えることで、視覚障害者の空間認知の実態を明らかにすることを目的としている。また、得られた知見を今後の住宅設計や家具デザインにフィードバックすることで、視覚障害者の生活空間の質向上に寄与することを目指している。 調査は主に、視覚障害者の自宅において、自宅内に配置された家具や小物の実測調査、自宅における行動観察調査、物の配置の意図に関するヒアリング調査を行っている。2022年度の研究実績として、8名の視覚障害者を対象とした自宅空間の設えに関する分析作業を進めた。 その結果、テーブル上の物の配置に特性があることが明らかとなった。視覚障害者は晴眼者のように視覚によってテーブル上の物を一覧するのではなく、テーブル上に置かれた物へ順番に接触しながら、どこに何があるかを把握するため、テーブル中央部の空間把握が難しいことが指摘された。この特性に対する工夫として、視覚障害者の自宅では、テーブルの縁に沿って物を置いたり、おぼんなどを用いて物のまとまりを作るなどの工夫が行われていた。 この特性をさらに詳細に分析するために、視覚障害者6名を対象に、テーブル上の動作を観察し、物への接触の手順や物の配置を分析した。 これらのデータをもとに、テーブル上の物の配置と動作の関係性について、国際学会でのポスターセッションにおいて成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染状況の様子を見ながら、被験者の意向を確認して調査を行っているため、集中して調査を行うことが難しかった。 また、得られたデータの分析・構造化に想定以上の時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、視覚障害者の自宅空間の設えの分析と、机上の環境構築と動作に関する分析を進めた。机上の環境構築と動作に関する分析に関しては、国際学会ポスターセッションでの発表と、査読論文の投稿を完了した。2023年度は、自宅空間の設えに関する分析を完結させ、査読論文に投稿する。
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Causes of Carryover |
査読論文の投稿が遅れたため、論文投稿・掲載料について執行できず、次年度使用額が生じた。今後採用が決定したら、投稿・掲載料を支払う予定である。
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