2021 Fiscal Year Research-status Report
Multiple Evaluation of Urban Shrinking for Adapting Population Decreasing with Mitigation of Flood Disaster Risk
Project/Area Number |
21K20463
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田村 将太 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (50911509)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 土地利用 / 水害 / コンパクトシティ / 多面的評価 / 人口減少 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は水害軽減型土地利用シナリオを作成し、そのシナリオを水害軽減の視点からだけでなく、その他の視点(生活利便性等)から多面的に評価し、水害軽減を考慮した将来土地利用配置シナリオがもたらす多面的効果を明らかにすることを目的とする。令和3年度は、主に以下の2つについて研究を実施した。 ①水害軽減に向けた洪水対策適正配置シナリオの作成 人口減少による財政悪化と気候変動による記録的大雨の増加がみられる現在の状況下では、土木インフラ整備のみによる洪水対策は財政的、能力的に困難と考えられる。そのため、土木インフラ整備と合わせて適切な土地利用コントロール(建築規制や居住誘導)や浸水リスクの高いエリアにおける建物の高床化による洪水対策も重要と考えられる。そこで、本年度は洪水被害軽減に向けた複数の対策メニューの適正配置シナリオを作成した。具体的には、複数の洪水対策(①土木インフラ整備、②高床化、③建物移転、④居住誘導)によって生じる費用と便益を算出し、それらを用いた便益評価を行い、その結果に基づき、各対策が実施されるべきエリアを把握した。その結果、エリアの特性(浸水深や人口の大きさ、建物の耐用年数等)によって導入すべき対策が異なることを明らかにした。 ②シナリオの多面的効果を把握するための都市構造評価モデルの構築 将来の土地利用シナリオがもたらす効果を多面的に把握するための評価モデルを作成した。具体的には、都市構造の評価に関するハンドブック(国土交通省)を参考に、①生活利便性、②健康・福祉、③地域経済、④行政運営(1人あたりの都市整備・維持管理コスト)、⑤エネルギー・低炭素(1人あたりのCO2排出量)の5つの評価分野から、ハンドブック内で将来値の推計が可能とされている18指標を選定し、それらの評価モデルをそれぞれ作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
土木インフラ整備等の各洪水対策を考慮した将来の土地利用配置について、費用便益の観点から適正配置を明らかにしたことで、研究計画書で示した洪水軽減に向けた土地利用シナリオの作成を実施することができた。また、これらシナリオを多面的に評価するためのモデルも作成したことで、研究計画書で示したシナリオの多面的効果を把握するための都市構造評価モデルの構築を実施することができた。以上のことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は①「河川氾濫シミュレーションモデルを用いた水害リスク評価」と②「将来の土地利用シナリオの多面的評価」を実施する予定である。 ①については、平成30年7月豪雨被災地の三原市を対象に、河川氾濫シミュレーションInforworks ICMを用いて、平成30年7月豪雨時相当の雨量による浸水範囲とその浸水深を把握する。このモデルは人孔、管渠、排水口、自然水路、人工水路、河川などの影響が地上と地下を含めた形で同時に計算されることから、内水氾濫と外水氾濫の相互作用といった水の流れを再現可能であるため、これを用いて作成したシナリオがどの程度、浸水被害軽減効果的であるかを把握する。また②については、都市構造評価モデルを用いて、水害軽減型土地利用シナリオの多面的効果を把握する。
|