2022 Fiscal Year Annual Research Report
ドーピングによるDion‐Jacobson型酸化物のイオン伝導度向上
Project/Area Number |
21K20483
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
張 文鋭 東京工業大学, 理学院, 特任助教 (20911853)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | イオン伝導体 / 燃料電池 / 構造解析 / 固体酸化物形燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化物イオン伝導体は、固体酸化物形燃料電池SOFC、酸素分離膜およびガスセンサーなどに幅広く応用できる材料である。CsBi2Ti2NbO10-δは、Dion-Jacobson相として世界初の酸化物イオン伝導体であり、Dion-Jacobson 相が酸化物イオン伝導体として有望な構造ファミリーであることも示した。2021年度にCsBi2Ti2NbO10-δの3価のBiの一部を2価のアルカリ土類金属(Mg, Ca, Sr, Ba)で置換した固溶体CsBi2-xMxTi2NbO10-x/2 (M =Mg, Ca, Sr, Ba; x =0.1, 0.2)を合成し、結晶構造、電気的性質、イオン拡散経路などを調べた。2022年度にCsBi2Ti2NbO10-δのTiとNbの比率を変えて、置換した固溶CsBi2Ti2-xNb1+xO10+x/2 (x = 0.1, 0.2, -0.1 and -0.2)を合成し、結晶構造、電気的性質、イオン拡散経路などを調べた。そこで、実際に固溶体を固相反応法で合成し、X線粉末データを用いて、構造解析を行った。直流伝導度測定と交流インピーダンス測定により、ドーピングにより酸化物イオン伝導度を向上させることに成功した。10%Srドーピングした組成は一番高い伝導度を示した。電気伝導度は酸素分圧に依存しないので、酸化物イオン伝導が強く示唆された。結合原子価法により、酸化物イオンの拡散経路も示唆された。更に、伝導度向上の理由を、イオンサイズ、キャリア濃度などの観点から説明できた。この成果はレフリーから高く評価され、Ceram. Int.(2022年)とChem. Commun.(2023年)に掲載された。また,研究を実施した大学院生がセラミックス協会年会で優秀ポスター発表賞(優秀賞)を受賞した。
|