2022 Fiscal Year Annual Research Report
無機半導体結晶の変形挙動における光環境効果と転位物性の解明
Project/Area Number |
21K20484
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小椋 優 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70908152)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 転位 / 光 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,主に,酸化マグネシウム(MgO)単結晶について,光環境制御下における機械的変形試験を実施した.酸化マグネシウム(MgO)は,室温において塑性変形可能であることが既に知られているものの,その変形特性における光環境効果についてはこれまで不明であった.塑性変形時に光を照射すると,変形応力のわずかな増加がみとめられた.変形後結晶について,電子顕微鏡を用いた内部組織観察を実施したところ,転位(線状の結晶格子欠陥)の形成がみとめられた.よって,塑性変形は転位の運動によって生じていると考えられる.第一原理に基づく理論解析によると,酸化マグネシウム(MgO)中の転位は,バルクよりもバンドギャップが小さい特異な電子構造をもつ.その結果として,光励起されたキャリアと転位が相互作用し,転位の運動性が低下すると考えられた.さらに,変形後結晶について光吸収特性評価を実施したところ,光学的バンドギャップの低下がみとめられた.これは,塑性変形によって導入された転位が有する特異な電子構造に起因すると考えられる.転位の導入が酸化マグネシウム(MgO)単結晶の基礎物性を変化させうることがわかった. これまで,結晶の変形特性における光環境効果についての研究は,主にII-VI族化合物半導体を中心としていた.一方で,本研究を通して,II-VI族化合物半導体以外の無機結晶においても,光環境がその変形特性に影響を及ぼすことが見出された.
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Research Products
(2 results)