2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of evaluation method for thin film magnetism by spin Hall magnetoresistance
Project/Area Number |
21K20497
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
根岸 真通 東北大学, 金属材料研究所, 特任助教 (70911147)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 薄膜合成 / 酸化物 / イルメナイト型構造 / パルスレーザー堆積法 |
Outline of Annual Research Achievements |
始めに、イルメナイト型構造を持つ酸化物MgTiO3について、パルスレーザー堆積法による薄膜堆積条件探索を行い、良結晶性と原子レベルの表面平坦性を両立する単結晶薄膜の合成方法を確立した。MgTiO3は、磁性イオンを含有しないことから非磁性体であると考えられるため、他のイルメナイト型磁性体を安定化するバッファー層や、イルメナイト型磁性体でスピンホール磁気抵抗効果を測定する際の参照物質として有用である。 令和4年度には、イルメナイト型構造を持つ反強磁性体群ATiO3 (A = Mn, Fe, Co, Ni)についても、薄膜堆積実験を実施した。まず、MnTiO3の堆積条件探索を行い、原子レベルの表面平坦性を持つ単結晶薄膜の堆積条件を確立した。その後、MnTiO3で確立した堆積条件のもとでATiO3 (A = Fe, Co, Ni)を堆積する実験を実施したところ、全ての化合物でイルメナイト型構造が形成されることが分かった。イルメナイト型ATiO3 (A = Mn, Fe, Co, Ni)は、Aサイト元素によって異なる反強磁性秩序を形成するため、多様な反強磁性秩序がスピンホール磁気抵抗効果にどう影響するか調査するのに利用できる。 以上の実験により、イルメナイト型酸化物群ATiO3において、非磁性のA = Mgと、多様な反磁性を示すA = Mn, Fe, Ni, Coの薄膜積方法を確立した。すなわち、イルメナイト型酸化物群におけるスピンホール磁気抵抗効果を介した反強磁性探究の舞台を実現することができた。 また、イルメナイト型構造を持つ新規量子磁性体候補物質MgIrO3の薄膜堆積実験も実施し、薄膜中のMg/Ir組成比の制御方法を確立した。期間中にイルメナイト型MgIrO3を主相として薄膜化することはできなかったものの、令和4年度には、新規Mg-Ir-O結晶相を発見する成果があった。
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Research Products
(2 results)