2021 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ流体デバイスによるエクソソーム創薬基盤の創成
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21K20504
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 笑 九州大学, 工学研究院, 助教 (80910926)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 脂質ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年以降、RNAなどの核酸を脂質ナノ粒子に搭載したナノ医薬品の臨床応用が急速に進んでいる。特に細胞外小胞のエクソソームに薬剤を搭 載するエクソソーム創薬は、非侵襲なナノ医薬として注目されている。しかし、高効率な薬剤導入は難しく、粒子物性は細胞からの抽出操作等 で変化するため、ナノ粒子物性が生体内挙動に与える影響を統一的に評価できるエクソソーム創薬基盤の構築が求められている。そこでエクソ ソームの脂質組成を模倣した粒子の、人工エクソソームが注目されている。 本研究は、マイクロ流体デバイスを用いて物理特性が異なる人工エクソソームを作り分ける方法を確立し、作製粒子の細胞内挙動の解析することを目的とし、最終的には物性が異なるナノ粒子ライブラリーを形成し、エクソソーム創薬の基盤となる統一的な評価系の構築への貢献を目指す。本年度は粒径・組成が異なる人工エクソソームの作製方法の開発に重点的に取り組んだ。 具体的には、特徴的な粒子特性を有する3種類のエクソソームに含まれる脂質成分をモデルに、同様の成分で形成された脂質ナノ粒子を100 nm以下でサイズ制御する手法を確立した。本手法は、サイズ制御と同時に、封入が困難な核酸分子を効率よく粒子内部へ封入することを可能にした。さらに、10種類以上の人工エクソソームを作り分け、がん細胞による粒子取り込みへ与える影響を、サイズ・かたさといった物理特性によって特徴付けることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は粒径・組成が異なる人工エクソソームの作製方法の開発に重点的に取り組み、特徴的な粒子特性を有する3種類のエクソソームに含まれる脂質成分をモデルに、同様の成分で形成された脂質ナノ粒子を100 nm以下でサイズ制御する手法を確立した。本手法は、サイズ制御と同時に、封入が困難な核酸分子を効率よく粒子内部へ封入することを可能にした。 また、10種類以上の人工エクソソームを作り分け、がん細胞による粒子取り込みへ与える影響を、フローサイトメトリーによる測定と顕微鏡観察から、サイズ・かたさといった物理特性によって特徴付けることまで進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、確立した人工エクソソームの作製手法をもとに、脂質成分や内包分子の電荷・分子量に着目して、狙った粒子を作製する手法へ拡張する。また、人工エクソソームのがん細胞による取り込みを粒子特性の観点から特徴づけることに成功したため、がん細胞以外の免疫細胞や幹細胞を用いた評価へ応用し、天然のエクソソームの取り込み挙動と比較する。これによってこれまでのエクソソーム解析では分からなかった、ナノ粒子特性に基づく画一的評価の基盤を構築する。
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