2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on Ice crystal growth mechanism through observation of hydration layers in quasi-liquid layer by high-speed FM-AFM
Project/Area Number |
21K20506
|
Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
宮戸 祐治 龍谷大学, 先端理工学部, 准教授 (80512780)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 原子間力顕微鏡 / 高速化 / 雪氷結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、高速な周波数検出方式の原子間力顕微鏡(FM-AFM)により、雪氷結晶の表面に存在する擬似液体層を観察することを目指している。これを実現するためには、共振周波数の高いフォースセンサを利用することが重要である。そこで、本研究では、高速AFMのスキャナに、フォースセンサとして長さ伸長型水晶振動子センサ(LERセンサ)を搭載したプローブスキャン方式のFM-AFMの構築を進めている。一から研究をリスタートすることとなった令和3年度は、AFM構築の準備、および要素技術の確立を行なった。まず、高速スキャナに載せる部品の重量が増えるとスキャナの走査性能が劣化することが予想されたため、実際のスキャナで特性試験を行った。その結果、スキャナの最大走査速度がわずか100mgの重量負荷で半分になることがわかり、本方式の高速AFMの実現には軽量な固定ジグの開発が最重要と判断した。そこで、LERセンサを繰り返し取り付けと取り外しができる機構を光造形の3Dプリンタを用いて試行錯誤をしながら最適形状を検討することで、軽量でありながら、LERセンサを安定して固定できる機構を完成させた。一方、氷を成長させる環境制御機構も構築する必要があるので、研究協力先の大阪大学阿部真之教授のグループの支援を得て、低温インキュベータを本研究グループに導入した。さらに、AFM本体の設計をCAD上で進めており、渦電流ダンパーの導入などにより、以前に構築した装置よりも安定した装置となるように工夫も施している。次年度は、設計したAFM装置を立ち上げ、雪氷結晶成長のために必要となる水蒸気導入機構の構築も実施して、擬似液体層の観察実験に取り組む計画である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題においては、雪氷結晶を気相中で成長させながら安定に観察できるようにする高速FM-AFM装置を構築することが、何よりも重要である。令和3年度は、雪氷結晶を観察可能とする高速AFMを実現するため、軽量なLERセンサ固定ジグを開発した。これにより、重量付加によるスキャナ特性の劣化を最小限に抑え、ビデオレートでの撮像が可能な性能を確保した。また、氷成長を行いながら観察するための、高速AFMチャンバーをCADで設計し、周辺機器の整備・準備をすすめた。また、研究協力先の大阪大学阿部真之教授のグループにおいて、すでに立ち上がっているAFMを改良することで、先行的に高速化の検討を行なっており、その成果も踏まえて設計に反映している。以上から、おおむね順調に進展していると自己評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究を推進するため、本グループにおいて高速FM-AFMが構築できるまでの期間は、研究協力先の大阪大学阿部真之教授のグループが所有するAFMにおいて可能な実験から進めさせていただくことになっている。特に、高湿度環境下で安定して撮像できるような条件の探索・装置の改良点の洗い出しが必要と考えている。その成果を開発するAFMに反映し、本研究が目指す雪氷結晶の上に存在する擬似液体層の水和構造観察に役立てていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
当初の資金使用計画から一部を変更した。変更理由は、装置構築のために必要となる備品について精査したところ、粗動アプローチ時の慣性駆動ピエゾに用いる高圧アンプの性能が不十分なことに気がついたためである。そこで、当初購入予定だった低温インキュベータは、研究協力先から譲渡いただき、その分で高圧アンプの購入費に補充した。その他は概ね計画通りではあったが、小額の残金が生じた。その分は次年度に繰り越して、実際の実験の際に必要となる消耗品などに活用することとしている。令和3年度に設計した図面をもとに、翌年度の助成金でAFMチャンバー本体を作製し、本申請課題で目的とする実験を実施する計画である。
|
Remarks |
(その他発表) 山口大学研究推進体「先端的計測・分析基盤技術の創出」×物質構造解析研究会・第6回ジョイントセミナー、 特別講演2「走査プローブ顕微鏡によるナノスケール物性評価:局所電気測定から氷上の水膜評価まで」発表者:宮戸祐治(招待講演)
|
Research Products
(1 results)