2022 Fiscal Year Annual Research Report
相変化材料と酸化物の積層MIS接合を用いた大容量・低消費電力不揮発性メモリの実現
Project/Area Number |
21K20509
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
畑山 祥吾 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 産総研特別研究員 (50910501)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 相変化材料 / 酸化物 / MIS接合 / 不揮発性メモリ / セレクタフリー素子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度得られた結果は以下の通りである。 1.Ge-Sb-TeとSiO2の積層膜をW電極で挟み込んだMIS接合型デバイスを作成し、動作特性の評価を行った。当該デバイスは、低電圧域ではSiO2の抵抗成分に起因した高抵抗状態を示したが、電圧を増加させていくとある電圧で電流が急峻に増加する閾値型の抵抗スイッチを示した。電圧を除荷すると再び低電圧域で高抵抗を示し、閾値電圧以上の電圧で再度電流増加が確認され、得られた電流-電圧特性の高い再現性を示すことに成功した。また、電極とGe-Sb-Te間に挿入した酸化物が低電圧域で電流が抑制する役目を果たすことが分かり、当該素子構造がセレクタフリーな素子になる可能性を実証できた。 2.上記、電流が急増する閾値電圧はGe-Sb-Teがアモルファス相なのか結晶相なのかで変化が生じ、本提案のMIS接合型素子はフラッシュメモリなのどと同様に閾値電圧をメモリウィンドウとした不揮発性記録が可能であることが示された。 3.単純な電気抵抗の観点だと、閾値電圧はGe-Sb-Teが結晶の時の方がアモルファスの時よりも低くなると予想したが、実際はその逆であることがバンドアライメントの観点から明らかにすることが出来た。
現在のクロスポイント型不揮発性メモリは、読み取り精度の向上と選択素子開発の難しさに大きな課題を抱えている。本研究では、信頼性の高い動作である閾値電圧型の読み取りと、酸化物を利用した選択素子フリーな新規構造の提案に至った。これらの結果から、期間全体を通じて既存メモリの抱える課題を解消する新知見を見出すことに成功したと言える。
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