2023 Fiscal Year Research-status Report
体外式膜型人工肺と血中カルボキシヘモグロビン濃度との関連
Project/Area Number |
21K20516
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 聡 京都大学, 医学研究科, 助教 (50612636)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2025-03-31
|
Keywords | カルボキシヘモグロビン / 体外式膜型人工肺 / 溶血 |
Outline of Annual Research Achievements |
体外式膜型人工肺(ECMO)は、循環不全や呼吸不全に対する切り札として用いられている装置であるが、その使用中の主な合併症の一つとして溶血が挙げられる。これは、血流の乱流や微小血栓、回路内陰圧によるキャビテーションと呼ばれる現象などを介して赤血球が損傷するためと言われており、腎臓などの臓器不全や凝固障害、死亡率と関連することが示されている。 カルボキシヘモグロビンは、外因性の一酸化炭素がヘモグロビンと結合した際に産生されるため、一酸化炭素中毒の際に計測されるマーカーとしてよく知られている。一方で、ヘムオキシゲナーゼによるヘモグロビンの正常な生体内での分解によってもカルボキシヘモグロビンが産生されることがわかっており、例えば新生児溶血の指標となり得ることが報告されている。そのため、理論的には、カルボキシヘモグロビンがECMO使用中の溶血を発見する上で、有用なマーカーである可能性がある。 そこで本研究は、研究課題の核心をなす学術的な「問い」として、「ECMO装着中の溶血のマーカーとしてカルボキシヘモグロビンが有用であるのか」を設定し、特に溶血のリスクが高い小児患者を対象として研究を行っている。 COVID-19のパンデミックにより予定よりは遅れているが、患者からの同意取得、データ収集は終了し、サンプル数も当初の予定通りである。 解析からは、カルボキシヘモグロビン濃度と溶血の間に強い関係は認められなかった。またh、メトヘモグロビンと溶血の間には弱い関連を認めた。現在、論文を作成中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19のパンデミックにより、研究開始とデータ収集が遅れたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
現時点でデータ収集は終了しており、残るは解析と論文の作成である。
|
Causes of Carryover |
現在データ解析、論文作成中である。英文校正や論文投稿費のために翌年度分の助成金が必要であるため申請した。
|