2022 Fiscal Year Annual Research Report
MOF内部空間でのテンプレート重合による高分子の精密一次構造制御
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21K20528
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀谷 優樹 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (80909979)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 高分子 / MOF / 制御重合 / 二重鎖 / ラダーポリマー / 架橋 / 高分子反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリマー鎖をちょうど二本包接できるサイズの一次元細孔をもつ多孔性金属錯体(MOF)の内部で架橋重合を行い、二重鎖ビニルポリマーの合成を行った。従来の二重鎖ポリマーの合成法は二重鎖を形成するための特殊な繰り返し構造に限られてきたが、本研究で見出した方法は様々なポリマーに適用でき、二重鎖構造による特性変化を幅広く調べることができる。当初はテンプレート高分子に沿った重合により高分子の一次構造を制御することが研究目的だったが、研究活動のスタートとして重要な今後の展開性、新規性を考慮し、この二重鎖合成について研究を深めた。 本年度は、初年度に合成した二重鎖ポリマーについて、さらに踏み込んだ解析を行った。二重鎖PMMAを原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ、鎖状の像が観測された。架橋構造が組み込まれていながら鎖状であることから二重鎖構造の形成が支持された。他に、架橋剤を切断して前後で分子量を比較するなどして、二重鎖形成の証拠を集めた。また、得られた二重鎖ポリマーの動的粘弾性測定を行った。一本鎖のポリスチレンが液体的にふるまうような高温でも、二重鎖ポリスチレンは液体的にならないことが示された。これは二重鎖構造により鎖方向への運動が難しくなったためと考えられる。 さらに、二重鎖合成の汎用性を上げるため、側鎖を変換できるポリマーでの二重鎖合成を検討した。これにより、酸・塩基性の強い繰り返し単位や、大きな側鎖を持つポリマーといった、MOFの細孔に入れることが難しい高分子についても二重鎖化が期待される。
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