2021 Fiscal Year Research-status Report
強等方性格子を持つ導電性有機材料の開発と電池機能の開拓
Project/Area Number |
21K20532
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木下 直哉 名古屋大学, 工学研究科, 中核的研究機関研究員 (00910564)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 分子性導体 / 電池材料 / 酸化還元 / 有機材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、三次元的な周期構造を持つ強等方性K4格子のトポロジーに起因した機能の開拓を目的として、酸化還元活性かつ優れた電気伝導性を示す分子骨格を導入した新規立体π共役分子の開発を目指した。本年度において、いくつかの酸化還元活性な骨格を持つ立体π共役分子の合成検討を行ったが、K4格子を持つ分子性の新規有機結晶の作製には至っていない。 (1)申請者がこれまでに研究してきたテトラチアフルバレン(TTF)系電子供与体の合成方法や既報の合成方法に基づいて、TTF部位を骨格中央に持つ前駆体分子の合成を行った。得られた前駆体分子を用いて立体π共役分子の合成を試みたものの、反応性の低さや予想外の分解反応が生じることが判明し、標的分子の単離には至っていない。 (2)これまでに開発された分子性のK4格子は、電子アクセプターであるナフタレンジイミド(NDI)骨格で構成されている。このNDI系K4格子の安定性向上や更なる内部空間の拡大を目指して、NDI骨格をペリレンビスイミド(PDI)骨格にπ拡張した類縁体の合成が試みられたが、原料のペリレン酸無水物の有機溶媒に対する難溶性から目的物は得られていない。研究代表者はこの問題の解決策として、溶媒を使用せず固体状態で反応を行うメカノケミカル合成に注目した。初期検討としてナフタレン酸無水物とシクロヘキサンジアミンの縮合反応を固相中で行ったところ、期待通りNDI-Δの合成に成功した。この結果に基づいて、ペリレン酸無水物とシクロヘキサンジアミンの縮合反応を固相中で行ったところ、FT-IR, MALDI-TOF-MSから目的生成物であるPDI-Δの存在が示唆された。また、環状構造を持つPDI二量体、四量体の存在も合わせて示唆されたため、現在はこれらの混合物から目的物(環状三量体)の単離を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、酸化還元活性な分子骨格を導入した新規立体π共役分子を合成し、その分子性結晶の作製と電気化学機能の開拓を行う研究である。現在までに、標的分子の合成のために必要な設備や試薬、消耗品を整え、原料合成など順調に進めている。当初計画していた標的分子構造自体は予期せぬ熱分解によって合成に至らなかったものの、新たに着想した難溶性立体π共役分子のための合成法が有効であることを示唆する結果を得ており、今後はこの手法を用いた分子開発を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られた知見をもとに、新規立体π共役分子の合成と電気化学機能の調査を進める。また、新たに見出した合成法の応用可能性を拡大するため、既存の立体π共役分子の高効率合成の条件を探索するとともに、新規有機材料の合成にも挑戦する。
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Causes of Carryover |
納入予定試薬の欠品が生じたため、入荷次第、翌年度請求分と合わせて使用する予定である。
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[Presentation] 電池内重合によるサイクル特性の向上を可能とするTTF類の開発2021
Author(s)
辺見 慶介, 森脇 逸斗, 榊原 諒, 松下 俊輝, 木下 直哉, 水津 理恵, 吉村 彩, 白旗 崇, 八尾 勝, 阿波賀 邦夫, 依光 英樹, 御崎 洋二
Organizer
第48回有機典型元素化学討論会
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