2021 Fiscal Year Research-status Report
Materials discovery through integration of heterogeneous material data
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21K20537
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
藤井 幹也 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20582688)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | マテリアルズ・インフォマティクス / 光触媒 / 機械学習 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
異なった材料系のデータを統合する『異種データ統合』の概念を確立し,既にデータが存在する既往材料とは異なる新材料探索を効率的に行う手法を構築することを目的とした.光触媒反応は実験や計算物質科学的手法の双方から研究が行われているが,実験的には光触媒反応が複数の素反応が段階的に生じることに起因して反応メカニズムの理解まで到達できず,一方,計算物質的手法では素反応の電子・原子スケールから反応メカニズムを理解できるものの,最終物性を定量的に推定できない.そこで,実験により得られる最終物性データである光触媒活性と計算物質科学手法によって得られる電子・原子スケールの物性データを関連づけ,前者を後者から予測するモデルを構築する。 まず、本研究ではTa系光触媒材料について、触媒活性に関するプロセス変数と触媒活性値のデータを収集した。ここで,触媒活性を持つ2種類のTa系触媒AおよびBの材料情報については化学組成から特徴量化を行った。さらに、助触媒のPtやRhの助触媒についても,合成に含める分率に従って機械的な助触媒組成式を構築し,特徴量化を行った Random Forest法により光触媒活性の予測モデルを構築し、その精度の検証結果をまとめたところ、触媒活性の精度は予測誤差(RMSE)が3.62とわかった。この精度は未だ十分ではないが,これまでは,光触媒反応の活性値を材料情報およびプロセス条件から定量的に予測することは不可能であったが,本研究により機械学習手法により定量的な予測が可能であることがわかった.しかし、本研究においては,光触媒反応に対してデータ駆動型科学の有効性が示されたものの,実験データが約30と決して多くなく,予測誤差も小さくないため、データ数の拡張と予測精度の向上が今後の研究の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は化学組成情報およびプロセス情報を含むデータベースを作成し、その実験データに対する機械学習を行うことで、光触媒活性に対する機械学習手法の有効性を示すことができた。一方で、多くのデータを集めることができずに、特徴量の数がデータの数よりも多くなった。この問題については、スパースモデリングや主成分解析を用いることで、特徴量を削減することで対応した。その結果、実験的なハズレ値の同定とモデル化の指針を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は計算物質科学手法を用いたデータ拡張を行い,実験データと理論データを統合することで予測精度の向上につとめる.触媒AおよびBのそれぞれの結晶構造を密度汎関数法により結晶構造を求める.密度汎関数法は物質の電子状態をあきらかにし,その物性情報を得ることができる.本研究においては,H+の還元反応とOH-の酸化反応が光触媒反応として生じるため,AおよびBが光励起によって伝導帯に励起した電子,価電子帯に残された正孔がそれぞれ重要になる.両者を特徴量化することで本研究が対象とした光触媒反応のデータ拡張を行う。より具体的には,励起電子と正孔の有効質量,励起電子と正孔の波動関数が空間的に占める部分原子群から仮想的に計算するXRDスペクトルが重要になると考えられる.これらの情報を計算し,実験のプロセス条件に応じて生成されるAおよびBの分率に従って統計処理を行うことで特徴量のデータ拡張を行う.そして,材料情報,プロセス情報,計算物質科学情報から水素発生における触媒活性のより高精度な予測を可能とする.
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Causes of Carryover |
本年度は実験データから物性値の予測を行ったがデータ数が多くなかったため、計算機の負荷が小さく初年度利用を次年度に繰り越した。次年度は計算機を用いたシミュレーションを行う予定であり、電子状態用計算機を購入する予定である。
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