2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mapping of energy and electron transfer pathways in photosynthesis by transient two-dimensional infrared spectroscopy
Project/Area Number |
21K20545
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
米田 勇祐 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 助教 (60903721)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 二次元分光 / 振動分光 / 光合成 / エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に構築した自作の非同軸光パラメトリック増幅器を用い、励起状態における二次元振動相関スペクトルを測定することのできる二次元インパルシブ誘導ラマン分光(2D-ISRS)装置の構築を行った。2D-ISRSは三つのパルスを用いた実験手法である。まず、第一のパルスによって系を励起状態に遷移し、振動コヒーレンスを生成する。その後、励起状態吸収もしくは誘導放出に共鳴した第二のラマンポンプパルスによって、振動コヒーレンスを再び生成する。最後に、第三のラマンプローブパルスによって系の振動信号を時間領域で記録する。これら三つのパルスの時間差(ΔT, τ)に対して二次元フーリエ変換を行うことによって、二次元振動相関スペクトルを取得することができる。2D-ISRSは、10000点以上(二つの時間差に対しそれぞれ100点以上)のデータ点数を必要とする実験的困難さから、測定に成功した報告は世界的にもまだ数例程度しかない。そこで、本年度はラマンポンプ・プローブパルス間の時間差を高速スキャンする独自の検出システムを構築し、高効率なデータ取得を実現した。アセトニトリルの非共鳴インパルシブラマン測定を高速スキャンと従来の方法(ステップスキャン)で比較したところ、同じレベルのS/Nのデータを3倍程度高速に取得することができた。さらに、2D-ISRSをポリアセン誘導体に応用したところ、0-2000cm-1といったこれまでにない広い波数領域において明確なクロスピークを観測することができた。以上の成果は現在論文として投稿中である。
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