2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Conjugated Polymers Based on a Monomer Unit with Optimized Bond-Length Alternation
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21K20548
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
山本 恵太郎 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部マテリアル応用技術部材料技術グループ, 研究員 (20910516)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 共役系高分子 / 結合交替 / π電子の非局在化 / キノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
π共役系分子は有機エレクトロニクスの活性層材料として重要であり、その中でも共役系高分子は主鎖方向においてπ共役系が拡張され軌道の相互作用が大きいことから、高移動度の有機半導体として期待される。しかし一般に共役系高分子はモノマーの芳香族性による結合交替によって有効共役長が減少する。また、構造の揺らぎによって軌道エネルギーにディスオーダーが生じ、分子内主鎖方向の移動度を低下させる要因となる。この課題に対して本研究では、結合交替が小さくなるように設計しπ電子を非局在化させたモノマーユニットを、一定間隔でπ電子が局在化したユニットで連結させた「結合交替最適化ポリマー」の開発を目指す。 キノイド性の分子はキノイド構造と芳香族構造での共鳴によって電子を非局在化させることができる。そこでπ電子を非局在化させるユニットとしてチエノキノイド構造を用いることとした。連結部にはキノイド骨格を直接つなぐことができるs-indacene-1,3,5,7(2H,6H)-tetroneを用いることとした。量子化学計算によってチエノキノイド構造の鎖長の長さを最適化するために①結合交替②ジラジカル性③イソデスミック反応のエネルギー変化の計算を行った。チエノキノイド2~5量体骨格をDFT計算での最適化構造に対して結合長解析を行ったところ、鎖長が伸びるほど結合交替が小さくなるという結果が得られた。②ジラジカル性については4,5量体においてジラジカル性(y)が0.5付近となり、キノイドと芳香族の中間にあることが計算された。③イソデスミック反応について各チエノキノイドの芳香族状態とキノイド状態についてエンタルピー変化を計算したところ、鎖長に対して規格化した値で4量体においてエネルギーの極大値となることが示された。このことは4量体で共鳴構造におけるキノイドと芳香族の寄与が同程度になっているためだと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
量子化学計算によって最適化したモノマーユニットおよびモノマー連結部を含めての目的とする高分子を設計することができた。また目的分子の合成経路について市販品から短いステップにて合成できるものを設定した。一方で、実験系の構成がやや遅れたことにより、分子合成が少し遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
構成した合成実験系を用いて設計した目的分子の合成を行う。合成した分子の構造および物性について実験、量子化学計算の両面から評価を行う。また、第一原理計算によってキャリア輸送についてのシミュレーションを行う。高分子薄膜の作製および薄膜中高次構造の評価を行い、デバイス応用について模索する。
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Causes of Carryover |
当該年度購入予定であった装置のスペックの再検討および装置納期の関係から一年目での購入を見送った。繰り越し分はその装置の購入に使用する。
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