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2021 Fiscal Year Research-status Report

酸化物ナノシートを半導体とした色素増感光触媒の光励起逆電子移動過程の解明

Research Project

Project/Area Number 21K20555
Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

西岡 駿太  東京工業大学, 理学院, 特任助教 (60909464)

Project Period (FY) 2021-08-30 – 2023-03-31
Keywords色素増感光触媒 / 酸化物ナノシート / 電子移動 / 過渡分光測定 / 粉末材料 / 水素製造
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、層状酸化物ナノシートのイオン置換により、表面の状態を維持したまま電気化学特性を制御することで、色素増感光触媒粉末における光励起キャリアダイナミクスを、電気化学的視点から明らかにすることを目的としている。2021年度は、光触媒反応に必要不可欠な助触媒などの表面修飾が、光励起キャリアの挙動に与える影響を明らかにすることを目指した。そこで、代表的な層状酸化物ナノシートであるHCa2Nb3O10と、酸化物光触媒の代表としてSrTiO3を用い、水素製造のためのPt助触媒や絶縁体の修飾による光励起キャリア挙動の変化を調査し、以下の成果を得た。
1. 酸化物光触媒の調整方法の違いにより形成される(表面)欠陥が、色素増感光触媒反応に与える影響を明らかにした。
2.光触媒反応時に修飾するAl2O3絶縁体層やアニオン性ポリマーによって、光触媒粉末の表面電位が変化することで、溶液中のイオンとの反応性が変化することを見出した。
3. 水素生成助触媒であるPt粒子の大きさにより、光励起キャリアの電子注入・逆電子移動過程に与える影響を明らかにした。
4. 光触媒反応時に用いられる還元剤の種類により、光励起キャリアの電子注入・輻射/無輻射失活・逆電子移動過程を分離して評価する方法を見出した。
以上の成果により、層状酸化物ナノシートを用いた検討において、表面欠陥・助触媒の状態・吸着色素の反応性という、制御が困難でかつ影響が大きなパラメータを独立して評価することが可能になった。このことは当初の目的である、粉末光触媒を用いた電気化学的視点からの解釈を行う上で不可避な問題を解決したことに等しく、電気化学特性の影響を純粋に評価するための準備が整ったと言える。2022年度は、当初からの目的である、層状酸化物ナノシートのイオン置換により電気化学特性を制御し、その光励起キャリアダイナミクスに与える影響を明らかにする。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

2021年度に得られた成果は、以下の4点である。
1. 酸化物光触媒の調整方法の違いにより形成される(表面)欠陥が、色素増感光触媒反応に与える影響を明らかにした。
2. 光触媒反応時に修飾するAl2O3絶縁体層やアニオン性ポリマーによって、光触媒粉末の表面電位が変化することで、溶液中のイオンとの反応性が変化することを見出した。
3.水素生成助触媒であるPt粒子の大きさにより、光励起キャリアの電子注入・逆電子移動過程に与える影響を明らかにした。
4. 光触媒反応時に用いられる還元剤の種類により、光励起キャリアの電子注入・輻射/無輻射失活・逆電子移動過程を分離して評価する方法を見出した。
1と2の成果に関しては、これまで報告されていた状況証拠的な研究から予測された現象を、光触媒粉末懸濁水溶液を用いた過渡分光測定により、実験的に証明することができた。本研究で得られた成果は、直接的な証拠として得られた初めての例となった。3と4の成果は、上記2点を調査する過程で得られた副産物的な成果であり、予測していなかった現象を捉えることで得られたものである。これらは、見過ごしていれば別のパラメータ(表面状態の違いなど)に内包され、埋没し得た現象であり、今後の研究推進の妨げになる可能性があった。また、これまで明らかになっていなかった現象や、これまでに例がない評価方法を見出すことができたことから、重要な知見であると言える。以上のことから、当初の計画以上に進展していると評価する。

Strategy for Future Research Activity

本研究の最終目標である「色素増感光触媒における光励起キャリア挙動の電気化学的理解」を達成するにあたり、電気化学特性そのものを評価するためには様々な障壁がある。その克服のため2021年度は、酸化物材料を基盤にした色素増感光触媒を用い、過渡分光測定等を行うことで以下の成果を得た。
1. 酸化物光触媒の調整方法の違いにより形成される(表面)欠陥が、色素増感光触媒反応に与える影響を明らかにした。
2. 光触媒反応時に修飾するAl2O3絶縁体層やアニオン性ポリマーによって、光触媒粉末の表面電位が変化することで、溶液中のイオンとの反応性が変化することを見出した。
3.水素生成助触媒であるPt粒子の大きさにより、光励起キャリアの電子注入・逆電子移動過程に与える影響を明らかにした。
4. 光触媒反応時に用いられる還元剤の種類により、光励起キャリアの電子注入・輻射/無輻射失活・逆電子移動過程を分離して評価する方法を見出した。
これらにより、種々の層状酸化物ナノシートの電気化学特性そのものの影響を評価することが可能になった。そこで2022年度は、層状酸化物ナノシートのイオン置換により、電気化学特性を制御した色素増感光触媒粉末を用い、電気化学的視点から光励起キャリアダイナミクスを理解することを目指す。これは、これまでに確立・技術習得した過渡分光測定法により、十分に実施可能である。さらに、色素増感光触媒における光励起キャリア挙動を電気化学的に理解することで、光触媒活性の向上に必要な材料特性を明確にし、高活性色素増感光触媒の材料設計指針を構築する。

Causes of Carryover

当初予定していた共同研究先への出張が、2022年度へ延期になったため。
本研究の推進に、出張を伴う測定は必要不可欠であり、2022年度内に2021年度延期分の出張を実施予定である。
次年度使用額以外は当初の予定通り、出張を伴う測定、及び過渡分光測定や電気化学測定に必須である専用セルの設計・製作に主に充てる。研究を進めていく上で必要な試薬等の購入にも使用する。
また、2021年度に得られた成果は多いが論文執筆や学会発表を行うことはできなかったため、2022年度は多くの発表を予定しており、出張費や論文投稿・英文校閲費用に使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Int'l Joint Research (1 results)

  • [Int'l Joint Research] University of Pennsylvania(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      University of Pennsylvania

URL: 

Published: 2022-12-28  

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