2021 Fiscal Year Research-status Report
強力な抗菌作用を持つハイブリッド構造天然物アミコラマイシンの全合成と構造活性相関
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21K20566
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
目黒 康洋 東北大学, 農学研究科, 助教 (10912157)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | amycolamicin / 抗菌物質 / 有機合成化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
Amycolamicin(1)の各部分ユニットの収束的連結による全合成を達成した。1のCユニット合成において、保護基を用いない分子内Diels-Alder反応により高立体選択的にトランスデカリン骨格を構築できることを見出した。続いて、1のDEユニットの改良合成に着手し、シャープレス不斉ジヒドロキシ化を経て、収率を大幅に向上させた。DE及びCユニットのグリコシル化は、トリフルオロメタンスルホン酸によるDEユニットのN,O-アセタール部分の活性化によりβ選択的に進行した。得られたCDEユニットとAユニットの連結は、トリフルオロ酢酸銀を用いることで糖アノマー位において立体収束的にN-アシル化が進行し、良好な収率でA-CDEユニットの成績体を合成した。本反応の詳細な検討により、反応機構の新知見を得た。テトラミン酸部分(Bユニット)はtBuOKによるDieckmann縮合で構築し、ワンポットでジメトキシベンジルアミンを添加することでAユニットに環状カーボネートの開環を伴う、カーバメイト基の導入を行った。環状カーボネート部分にアンモニアを作用させた場合は、目的物とは逆の位置異性体が優先的に得られたが、ジメトキシベンジルアミンに変更することで目的物を主生成物として得ることに成功した。最後にジメトキシベンジル基の除去、アセチル化とTBS基の除去による3工程の官能基変換により、得られた1は天然物の各種スペクトルとも良い一致を示し、全合成を完了した。既知物質から最長直線工程は17工程、総収率は5.7%での1の全合成を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
天然物の全合成を達成したので、当初の予定通り、各合成の改良や構造活性相関研究へと展開できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
Amycolamicin(1)の全合成を達成したので、改良合成を実施する。まず、amykitanose部分(Aユニット)の官能基導入の工程数を減らすため、保護基の変更等を試みる。Aユニットを合成した後、市販のBestmann ylideを用いることでBユニットの構築を1工程で行えると期待している。AB及びCDEユニットの連結をアルデヒドからC-アシル化による連結を検討することで直線工程の短工程化を計画している。1の構造活性相関研究は、既に合成した1の部分構造や上記の改良合成で得られた化合物を用いて、より強い活性を持つ類縁体の創製を目指す。また、A-Eユニット単独の生理作用とともに、各ユニットを様々な組合わせで連結した複合ユニットを合成して各種の生理作用を調べ、新規医薬リード化合物の開発へと展開する。
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Causes of Carryover |
当該年度に計画していた研究が年度途中で完了したため、本実験に必要な試薬や実験機器の購入が不要になった。また、COVID-19の影響による学会のオンライン化のため、旅費による支出が減少した。次年度の研究は外部機関との共同研究も計画しており、実験による物品費が多く必要になると想定し、次年度使用になった当該助成金と翌年度分の助成金を合わせて使用する予定である。
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