2022 Fiscal Year Annual Research Report
プレ・プロバイオティクスによる内在性抗炎症物質の産生誘導を介した脳内炎症の抑制
Project/Area Number |
21K20573
|
Research Institution | Shibata Gakuen University |
Principal Investigator |
奥野 海良人 柴田学園大学, 生活創生学部, 准教授 (50623980)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | トリプトファン / キヌレニン / 腸内環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 乳酸菌死菌体投与による血中Trp代謝の変動 腸内細菌叢の変化が内在性抗炎症物質キヌレニン(KYN)にどのような影響を与えるのかを調べることを目的とし、マウスの腸内細菌叢を変化させることを目的として、C57BL6雄性マウスに抗生剤ミックス(0.5% アンピシリン、ネオマイシン、メトロニダゾール、バンコマイシン)を5日間飲水投与後、乳酸菌Xの死菌体を14日間強制経口投与した(1x10^9 cell/0.2mL)。その結果抗生剤の投与によって血中KYNは有意に約25%増加し、さらに乳酸菌死菌体の投与によって有意に約60%増加していた。血中でのKYN増加パターンと同様の変化が脳内KYNでも認められたが、有意差は認められなかった。 これらのことから抗生剤投与によって腸内細菌叢が撹乱されて炎症が誘導され、ここに乳酸菌を投与することで腸管免疫が刺激され、KYNが誘導された可能性がある。このように腸内環境の変化は血中KYN濃度に影響を与えるが、脳内へのKYN流入は血液脳関門等で制御されており、健常なマウスにおいては脳内KYN濃度は一定に保たれていることが分かった。血液脳関門におけるKYN輸送に関わるアミノ酸トランスポーターはKYN以外にもいくつかのアミノ酸を輸送するため、トランスポーターが他のアミノ酸によって競合的に阻害された可能性が考えられる。腸内環境の変化によって血中アミノ酸濃度が変化している可能性を考え、脳内KYN濃度の維持機構の解明のために他の血中アミノ酸濃度についても調べてみる必要がある。
|