2021 Fiscal Year Research-status Report
管水路システムにおける圧力変動計測を利用したリアルタイム水管理手法の構築
Project/Area Number |
21K20605
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
浅田 洋平 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 研究員 (50911252)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 管水路システム / 圧力変動 / 漏水検知 / 水使用量の把握 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、近年世界的に大きな問題となっている管水路の漏水に対処するため、圧力変動計測と数値モデルを組み合わせた簡便かつ高精度な漏水検知手法の開発に取り組んでいる。この漏水検知手法は、管水路システムの末端における水利用(バルブ閉塞)に伴って発生する圧力変動を管水路システムの上流端と下流端で計測し、得られた圧力変動データを数値モデルに入力して逆解析を行うことで漏水位置と漏水量を推定するものである。また、本手法は、高価な流量計に頼らない水利用量の推定も可能であり、持続可能な水資源管理の実現に大きく貢献する可能性がある。令和3年度では、本手法の根幹をなす数値モデルの開発に着手し、管種に応じたモデルを構築することができた。鋼管に対応したモデルは、鋼管における既存の圧力変動データによって検証を行い、漏水位置、漏水量及び水利用量の推定に関してその有効性を確認することができた。塩ビ管に対応したモデルは構築することができたものの実測の圧力変動データが不足しており、その有効性はまだ確認できていない。本来の逆解析を用いた漏水推定手法は数値モデルに初期条件や境界条件を入力する必要があり、これらの条件を正確に設定しなければ精度の良い漏水推定が実現できない。本研究で構築した数値モデルではこのような不確実性の原因となる条件を入力する必要がないため、精度の向上が期待できるだけでなく、計測データに基づいたリアルタイムの漏水位置、漏水量、水利用量の推定に繋がる。課題となるのは、開発したモデルによる管路流れの計算中に用いられる管の変形モデルである。鋼管と塩ビ管はぞれぞれ弾性体、粘弾性体と呼ばれるように管の材質が異なるため、それに応じて発生する圧力変動中の管変形も異なり、それが圧力変動の大きさ、位相、減衰にも影響を与える。今後、実験を行うことで実際の圧力変動にも材質の違いによる変化が生じるか確認を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目は、鋼管及び塩ビ管の模型管路実験によって開発したモデルの検証を行う予定であったが、COVID-19の感染拡大の影響により当初の予定通りに模型管路実験を行うことができず検証作業があまり進捗していないことが理由として挙げられる。現在は、移動制限が緩和されているため、2年目では引き続き感染状況には十分留意しつつ、模型管路実験及び現場管路実験を実施していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、様々な流況条件、構造特性の下で鋼管と塩ビ管の模型管路実験を実施し、圧力変動データの蓄積を行うことで、よりロバストで信頼性の高いモデルの構築及び検証を実施する。また、現場の管路においても圧力変動実験を行い、構築したモデルにより漏水位置、漏水量、水利用量の推定を行うことで本研究で提案する漏水検知手法の総合評価を行う。
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Causes of Carryover |
1年目の研究経費の大部分が、模型管路実験に必要な実験機器(圧力計、流量計、データロガー)や模型管路の改良費用に充てられていたが、当該年度はCOVID-19の感染拡大の影響により模型管路実験を実施することが叶わなかったため、1年目の研究経費は未使用のまま数値モデルの構築に専念した。現在は、COVID-19による移動制限が緩和されており、模型管路実験及び現場管路実験を実施することが可能であるため、計画書通り、1年目と2年目を合わせた研究費経費を使用していく予定である。
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