2021 Fiscal Year Research-status Report
降雨強度および地表面上の腐植層が斜面の降雨浸透に与える影響の解明
Project/Area Number |
21K20607
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
眞木 陸 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 研究員 (60885010)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 降雨浸透 / 斜面 / 降雨強度 / 腐植層 / ため池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では斜面への降雨浸透挙動に対して降雨強度や地表面上の腐植層が与える影響の解明を目的として室内模型降雨実験を実施するものであり、実験装置の作製と実験に使用する土質材料の物性に関する試験を行った。 まず、実験土槽としてアクリル製で内寸970mm×490mm×300mmのものを用意した。排水のために土槽の底面および側面には直径約12mmの複数の孔を設けた。次に、降雨を模擬するための散水装置を作製した。散水装置は、貯水のためのタンクにポンプを接続し、高さ約2mの位置に取り付けたノズルまで引き揚げ、散水する仕組みとした。実験では降雨強度を変える予定であるため、ポンプとノズルの間には流量調節用のバルブと圧力計を設置し、ノズルは径の異なるものを複数用意した。散水装置の動作を確認した後、降雨検定を行った。検定には、計40個の内寸60mm×60mm×60mmのマスを用いた。また、実験では、模型地盤の過剰な浸食を防ぐため金属メッシュ板を模型地盤の直上に設置するため、検定の際にも同様にメッシュ板を設置した。検定ではノズルに作用する圧力とノズルの径を試行錯誤的に変え、所定の降雨強度の再現性とその際の降雨の均質性を確認した。土質材料にはまさ土を使用することとし、締固め試験および変水位透水試験を行った。透水試験の結果、透水係数がやや小さかったため、粒度を調整して使用することとした。 実験材料および実験装置が準備できたため、予備実験を実施する予定である。予備実験にて確認する項目は1)模型地盤の表面が過剰に浸食されないこと、2)本実験の計測項目である表面流出流量と地盤内飽和度が適切に計測できることの2点である。上記の2点が確認でき次第、本実験に移る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、予備実験の実施までを予定していたが、散水装置の作製や降雨検定の完了に想定以上の時間がかかってしまったことから、未だ予備実験の実施に至っていない。そのため、現在の進捗状況を「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画どおり予備実験を実施する。予備実験の結果を確認し次第、裸地地盤での降雨浸透実験を実施する。斜面の傾斜角および降雨強度を変えて実験を行ない、地盤表面の浸食がない状況下における降雨浸透挙動について検討する。裸地地盤での実験後、地盤表面に腐植層を設けた模型地盤での実験を実施し、裸地地盤での実験で明らかになった降雨浸透挙動に対して地盤表面の腐植層が与える影響について検討する。 これらの実験で得られた結果を用いて、降雨強度や斜面の傾斜角、腐植層の有無が有効透水係数に与える影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
予備実験の実施に至らず、土質材料を土質試験に使用するための数量しか購入しなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度においては、予備実験および本実験に使用する土質材料および実験の実施に必要な資材の購入に予算を使用する計画である。
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