2022 Fiscal Year Research-status Report
降雨強度および地表面上の腐植層が斜面の降雨浸透に与える影響の解明
Project/Area Number |
21K20607
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
眞木 陸 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 研究員 (60885010)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 降雨浸透 / 斜面 / 降雨強度 / 腐植層 / ため池 |
Outline of Annual Research Achievements |
降雨強度が斜面への降雨浸透量に与える影響を明らかにするため、室内での降雨実験を行なった。 模型地盤についてはまさ土を用いて締固め度85%で作製した片盛土地盤とし、傾斜角は30°とした。降雨については、昨年度に作製した降雨装置を用いて20~50mm/hrの範囲で降雨強度を変えて実験を行なった。実験では、地盤表面を流下する水の流量を転倒ます型量水計を用いて計測し、降雨強度から差し引くことで浸透強度を求めた。また、実験中の地盤内飽和度についても、地盤表面から50mm、100mmの箇所にそれぞれ3台の土壌水分計を設置することで計測した。 いずれの実験ケースにおいても、実験開始から数分後に表面流出が発生し、実験終了時まで一定の値を示した。また、地盤内飽和度については降雨開始から約10分後に地盤表面から50mm地点の飽和度が上昇を始め、その約10分後にさらに50mm下部の飽和度が上昇を示した。この傾向は降雨強度によらず、ほぼ同様であった。 計測した表面流出から各実験ケースでの浸透能を求めた結果、降雨強度と斜面における浸透能には正の相関があり、降雨強度の増加に伴い浸透能も増加することが明らかになった。このことから、降雨強度も斜面における浸透能を決定づけるパラメータの一つであることが示唆された。 腐植層が斜面の浸透能に与える影響については、当初は腐植層の模擬に腐葉土を用いる予定であったが予備実験の結果、腐葉土層を流れる成分が実験の結果に大きな影響を及ぼし、本来の実験目的であった「植生があることによる表面流の流速低下が斜面からの降雨浸透量に及ぼす影響」の検討にそぐわないと判断されたため、再検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では室内での降雨実験により、降雨強度および地表面上の腐植層が斜面からの降雨浸透挙動に与える影響を明らかにすることを目的としていたが、現時点では降雨強度の影響についての検討にとどまっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
傾斜角30°での実験結果から明らかになった降雨強度と浸透能の関係について異なる傾斜角でも同様であるか確認するとともに斜面の傾斜角と浸透能の関係について明らかにする。その後、地表面上の腐植層による表面流の流速低下が斜面からの降雨浸透挙動に与える影響の解明を目的とした降雨実験を進める。
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Causes of Carryover |
地表面上の腐植層による表面流流速の低下が斜面における降雨浸透挙動に与える影響についての実験が未実施であるため、次年度使用額が生じた。 次年度においては、上記の実験を実施するために必要な資材や土質材料の購入に予算を使用する計画である。
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