2022 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of new therapeutic strategy using afatinib in canine head and neck squamous cell carcinoma.
Project/Area Number |
21K20619
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
宮本 良 麻布大学, 大学病院, 特任助手 (30822580)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / 頭頸部扁平上皮癌 / 犬 / アファチニブ / ドライバー / HNSCC / SCC / 分子標的薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
人および犬の頸部扁平上皮癌 (HNSCC) は世界的に発生頻度の高い癌の一つだが、切除不応の場合では有効な治療法がなく、著しい治療成績の改善は未だない。この為、HNSCCに対する新たな治療戦略の確立が世界的に重要な課題である。新規治療戦略の確立にはHNSCCのがん増殖メカニズムを解明し、その機構を標的とした治療法が必要である。申請者はこれまで犬HNSCC株化細胞における420種類のキナーゼ阻害剤感受性をスクリーニングし、その結果に基づいた研究により人肺腺癌用の分子標的薬アファチニブが犬HNSCC細胞に対して著しい抗腫瘍効果を示すことをin vitro、in vivoおよび臨床症例で明らかにした。さらに、アファチニブ感受性HNSCC細胞では作用機序が肺腺癌と大きく異なり、既知標的分子であるErbBファミリーを阻害しないことを明らかにした。リン酸化抗体アレイおよび候補遺伝子のノックダウン法に基づいた研究結果から申請者はドライバー分子かつアファチニブの新規標的分子であるEphB3を特定した。 そこで当該年度では、ドライバー分子EphB3がどのようなメカニズムでHNSCC細胞の増殖を誘導するかを明らかにすることを目的として研究した。6種類の犬HNSCC株化細胞間におけるEphB3、リン酸化EphB3およびリガンド分子の発現レベルを比較するとアファチニブ感受性細胞のみでこれらが高発現していることが明らかとなった。またEphB3のリガンドをノックダウンすると、EphB3のリン酸化が抑制され、細胞死が誘導された。 これらの結果から、アファチニブは特定の犬HNSCCに対する新規治療戦略として有望である。本研究は治療開発の基盤研究としてだけでなく人HNSCCの治療開発研究へのトランスレーショナル研究として重要である。
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Research Products
(3 results)