2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K20621
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 杏子 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (10795701)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | H2抗体 / 抗体配列決定 / 細胞骨格 / キネシン / KIF5 |
Outline of Annual Research Achievements |
キネシンスーパーファミリータンパク質は、ミトコンドリアやシナプス小胞など細胞内オルガネラの分布に携わる重要なタンパク質群である。ファミリーのうちキネシン-1は、キネシン重鎖(KHC)とキネシン軽鎖(KLC)から構成されるヘテロ4量体タンパク質であり、細胞の形態形成や機能維持に不可欠である。キネシン-1を検出する著名な抗体としてKHCのstalk domainを抗原部位とする抗体:H2が古くから知られている。H2は幅広い生物種でKHCを認識し、細胞骨格モーター研究において最も広く使われているモノクローナル抗体の1つである。本研究ではH2抗体の重鎖および軽鎖の抗原認識部位のアミノ酸配列を決定し、哺乳類細胞で組換えH2抗体を発現させるベクターを作成した。このベクターを用いて発現した組み換えH2抗体は、ウェスタンブロッティングおよび免疫蛍光染色においてハイブリドーマ由来のH2抗体と同等の結果を示した。また3種類のヒトKHCアイソタイプ(KIF5A、KIF5B、KIF5C)および筋萎縮性側索硬化症に関連するKIF5A凝集体を細胞内で検出できることを確認できた。組換えH2抗体を用いることにより、これまでKIF5Aに付加した蛍光タンパク質由来のシグナルでは捉えられなかった小さいサイズのKIF5A凝集体も検出できたことから、凝集体と神経毒性の関係性を研究する上でH2抗体は有用と考えられる。さらにH2抗体のscFvとニワトリIgYのFc領域を融合した組み換え抗体を作成した。このニワトリ化したH2抗体は免疫蛍光染色において他のモノクローナル抗体との共染色が可能であることを示した。これらの結果により、組換えH2抗体の応用の可能性および組み換えH2抗体がキネシン-1の機能を研究するための有用なツールであることを示した。
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