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2021 Fiscal Year Research-status Report

ゲノム編集法とインセルNMR法の融合による細胞内RAS制御機構の定量的解明

Research Project

Project/Area Number 21K20624
Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

趙 慶慈  千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (60907682)

Project Period (FY) 2021-08-30 – 2023-03-31
Keywordsin-cell NMR / 核磁気共鳴法 / 分子夾雑 / ゲノム編集 / 低分子量GTPase
Outline of Annual Research Achievements

RASタンパク質は細胞内シグナル伝達の中核を担う分子スイッチであり、複数の細胞内制御因子により活性化が制御されている。また、RASの異常活性化はがんの原因となることからRASの活性制御機構は創薬標的として重要である。研究代表者はこれまでRASの活性化度の指標であるGTP結合型(活性型)割合を細胞内で直接観測するin-cell NMR法(細胞内NMR法)を開発し、RASのGTP結合型割合が細胞内ではin vitroよりも低く制御されていることを明らかにした。このような細胞内におけるGTP結合型割合の制御に対して複数のRASの制御因子が関与していると考えられるものの、それぞれの因子がどの程度寄与するかを細胞内環境下で定量的に解析する手法は存在しない。そこで、本研究ではin-cell NMR法とゲノム編集法を融合させることで、特定の制御因子の酵素活性や基質親和性を細胞内 (in situ)で定量的に解明する手法を開発する。RASの制御因子のうち特にRASを不活性化させる細胞内制御因子であるGAPタンパク質に着目し、本年度は代表的なGAPであるRASA1,NF1をノックアウト細胞株の構築を行った。ゲノム編集法としてCRISPR-Cas9系を利用し、各種ベクター導入後にセレクションされた細胞株においてGAPの発現が失われたことをウェスタンブロット法により確認した。さらにin-cell NMR結果で得られるRASのGTP結合型割合の経時変化から制御因子の細胞内における酵素活性や基質親和性を得るのに先立ち、本年度はリコンビナントのRASA1、NF1活性ドメインを大腸菌発現系により調製し、GAP添加時におけるRASのGTP結合型割合の経時変化から酵素反応速度論に基づく数理モデルを用いてin vitroでのGAPの酵素活性, 基質親和性を算出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究ではRASの細胞内制御因子のうち特にRASを不活性化させる制御因子であるGAPタンパク質に着目し、本年度は代表的なGAPであるRASA1,NF1をターゲットにCRISPR-Cas9系によるノックアウト細胞株の構築を行った。ゲノム上のGAP遺伝子を特異的に切断するガイドRNAおよびDNA切断酵素Cas9を同時に発現するpXベクター、および相同性組み換えによってGAP遺伝子領域にPuromycin耐性遺伝子をノックインするTargeting Vectorを細胞内に導入後、抗生物質Puromycinにより細胞をセレクションした。セレクション後クローンを確立した細胞株について、RASA1,NF1発現が失われたことをウェスタンブロット法により確認した。また、その際にノックアウトされていないもう片方のGAPの発現量が変化しないことも確認した。さらに本年度はin-cell NMR結果で得られるRASのGTP結合型割合の経時変化から制御因子の酵素活性や基質親和性を得るのに先立ち、まずin vitro系でGAP存在下でのRASのGTP加水分解反応からGAPの寄与を定量する手法の構築を行った。リコンビナントのRASA1、NF1活性ドメインを大腸菌発現系により調製し、GAP添加時におけるRASのGTP加水分解反応をNMR法により追跡した。RASのGTP結合型割合の経時的な減少に対してGAPによる酵素的なGTP加水分解を記述する数理モデルを用いてフィッティングを行い、in vitroでのGAPのRASに対する酵素活性, 基質親和性を算出した。

Strategy for Future Research Activity

今後、これまでに申請者らが確立した方法を用いて細胞中に安定同位体標識したRASを導入し、生きた細胞内におけるRASのGTP結合型割合をin-cell NMR法により定量する。このin-cell NMR測定をRASA1, NF1がそれぞれノックアウトされた細胞株に適用し、GAPのノックアウトが実際の細胞中におけるRASのGTP結合型割合をどの程度変化させるか定量する。また、GAPからの作用を受けないことが知られているRAS変異体についても同様にGAPノックアウト細胞を用いたin-cell NMRを行い、GAPの発現量の変化が直接の相互作用以外の要因でRASの細胞内GTP結合型割合に影響を及ぼさないかどうかを検証する。さらに、in-cell NMR測定で定量したGAPのノックアウトによるRASの細胞内GTP結合型割合変化を酵素反応速度論に基づいた数理モデルに対してフィッティングさせることで、細胞内における特定の制御因子の酵素活性や基質親和性の定量を行う。

  • Research Products

    (3 results)

All 2021 Other

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 分子夾雑系が変調する細胞内タンパク質の構造と機能2021

    • Author(s)
      趙慶慈, 嶋田一夫, 西田紀貴
    • Journal Title

      月刊「細胞」

      Volume: 53(6) Pages: 284-287

  • [Presentation] Intracellular quantification of the activity of signaling regulators by in- cell NMR with genome editing technique2021

    • Author(s)
      趙慶慈
    • Organizer
      学術変革領域クロススケール新生物学キックオフミーティング
  • [Remarks] https://researchmap.jp/qingcizhao

URL: 

Published: 2022-12-28  

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