2021 Fiscal Year Annual Research Report
転写反応の「場」の超解像イメージングによる新規エンハンサー作用機序の解明
Project/Area Number |
21K20627
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川崎 洸司 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任研究員 (90911925)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | エンハンサー / ライブイメージング / 超解像顕微鏡 / ショウジョウバエ / 胚発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ショウジョウバエ初期胚を用いて、エンハンサー活性と転写因子の時空間的な動態を一細胞レベルの解像度でライブ計測できる実験系の構築を目指した。まず、内在性転写因子とのクロストークを避けつつエンハンサー活性をよりシンプルに評価するために、ウイルス由来の外来転写因子VP16をショウジョウバエ初期胚中に発現させ、MS2レポーター配列近傍にテザリングした。興味深いことにレポーター配列から10 kbも離れたゲノム領域にVP16をテザリングするだけで標的遺伝子から明瞭な転写バーストが引き起こされた。その他にも転写メディエーターのサブユニットをテザリングすることでも同様に標的遺伝子の転写が活性化された。これらの結果は、遠位エンハンサー活性の発揮には転写因子単独のテザリングのみで十分である可能性を示唆しており、エンハンサーの作用動態を考える上で重要な知見となり得ると考えられる。 また、上記で作製したMS2レポーター系と超解像顕微鏡技術を組み合わせることで、VP16タンパク質の核内動態とエンハンサー活性を同時に可視化することに成功した。転写バーストが引き起こされる際にはエンハンサー上において一過的にVP16タンパク質のクラスターが生じており、その濃縮度は転写バーストの強度と強く相関していることが明らかとなった。
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