2021 Fiscal Year Research-status Report
piRNA clusterの転写を担う因子Rhinoの標的認識機構
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21K20629
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 絡 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (60907377)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | piRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
Rhinoが標的とするクロマチンマークを同定するため、交付申請書に記載した研究実施計画に沿って、以下の実験を実施した。1:ショウジョウバエ生殖組織由来培養細胞(以下OSC)における核内Rhino局在様態の確認、2:OSCにおけるRhinoゲノム局在箇所の同定、3:Rhino局在箇所特異的なヒストン修飾の探索。以降、それぞれの項目について記載する。 1について、まずOSCにおいてRhinoを新規に発現させる際の発現条件の検討を行なった。検討の結果、Rhinoをendogenousに発現させた場合、特定の発現量を超えるとRhinoが核内でfociを形成することを明らかにできた。RhinoがOSC核内でfociを形成したことは、RhinoがOSCゲノムの特定の箇所に特異的に局在していることを示しており、OSCが本研究計画を遂行する上で問題のない材料であることを示唆した。 2について、まずChIP実験における固定やsonication等の条件検討を行い、Rhinoを適切にChIPできる条件を見出した。この条件のもとでRhino ChIP-seqを行った結果、OSCにおけるRhino新規発現時のゲノム局在箇所を同定することができた。RhinoはOSCにおいてもpiRNAクラスターに局在しており、またOSC特異的な局在箇所も同定することができた。 3について、ヒストンペプチドスクリーニングで得られた結果をもとに、2で同定したRhino局在箇所に同所的に存在するヒストン修飾をChIP-seqによって探索した。この結果、ショウジョウバエにおいて全く新規な(報告のない)ヒストン修飾がRhino新規局在箇所と同所的に存在することを見出すことができた。 1~3の実験で得られた結果は、翌年度において因果関係を詳細に調べていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画を順調に遂行できている。1年目にRhinoのゲノム局在箇所を同定できていること、そしてRhinoの局在箇所に同所的に存在するヒストン修飾を見出していることから、計画は予定よりも早く進んでいる。2年目はこのヒストン修飾をRhinoがゲノム局在の足場としているかどうかを検証していく。
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Strategy for Future Research Activity |
Rhinoと同所的に存在するヒストン修飾について、Rhinoが標的としているかどうかを検証する。このヒストン修飾を書き込む責任因子を同定し、遺伝学的に検証するとともに、Rhinoタンパク質を大腸菌で精製して結合を生化学的にも検証する。
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Causes of Carryover |
1年目に行う予定の各種実験の条件検討が予定よりもスムーズに進行し、研究計画を予定よりも早く遂行できているため。次年度使用額は、1年目に得られた結果の検証に用いる。
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