2021 Fiscal Year Research-status Report
マウス生殖細胞発生過程におけるコヒーシンバリアントの役割の解明とその機能解析
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21K20635
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長野 眞大 京都大学, 医学研究科, 助教 (00910663)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | クロマチン高次構造 / エピゲノム / Hi-C / AID / Stag |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では生殖細胞分化過程におけるStagタンパク質によるクロマチン制御機構を目的としている。 SA1-cohesin, SA2-cohesinの結合部位の同定とエピゲノム的特徴との再解析を行い、SA2-cohesin優位な結合領域のenhancerを同定した。これらのenhancerに着目し、AID系でのタンパク質分解の表現型を解析する予定としている。 AID系の立ち上げのためにOSTIR1の遺伝子ノックインを行い、homozygousにノックインされているESCの細胞株を樹立した。Stag2の3'末端へのノックインを試みたが、ノックインが上手くいかなかったため、コントロール実験として同様に構造タンパク質であるCTCFへのノックインを行った。CTCFに関してはノックインが成功し、1時間以内のタンパク質の分解が確認できたため、現在Stag1, Stag2に関して再度条件検討を行い、実験を行っている。 HiChIPに関しては免疫沈降後のクロマチン収量が少なく次世代シーケンス用のライブラリ作製、解析が非常に難しかったため、ノックアウトにおけるHi-Cの表現系比較により同趣旨の解析を行う予定としている。 一方で、Stagタンパク質のノックアウトを含んだ10X chromiumのscRNA-seqを行い、遺伝子発現を解析したところ、表現型として生殖細胞系列への分化が阻害されていることと一致して、遺伝子発現レベルにおいても生殖細胞関連遺伝子の発現が有意に低下しているという結果が得られた。今後はこれらの発現低下が見られた遺伝子に対して、エピゲノムならびにクロマチン高次構造解析を行っていく予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に立ち上げを計画していたHiChIPとAID系に関しては、HiCHIPは代替方法によりほとんど同様の解析が出来ることが想定されたため、そちらに移行することとした。一方で、AID系に関してもCTCFに関しては動く系が確立されたため、今後本研究でターゲットとしているStagタンパク質に関して実験を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Stagタンパク質に対し、Stag2にAIDタグを付加したESC細胞株の樹立後、RNA-seq, ChIP-seq, Hi-C、single cell RNA-seqなどを組み合わせた詳細な表現型解析を行う。
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