2022 Fiscal Year Annual Research Report
マウス生殖細胞発生過程におけるコヒーシンバリアントの役割の解明とその機能解析
Project/Area Number |
21K20635
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長野 眞大 京都大学, 医学研究科, 助教 (00910663)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | コヒーシン複合体 / 生殖細胞 / AID / Hi-C / クロマチン高次構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では生殖細胞分化過程におけるSTAGタンパク質によるクロマチン制御機構の同定を目的とした。 まず初年度(2021年度)にはAID系を用いたタンパク質分解実験を試みた。予備実験段階ではCTCFにAIDのタグ付けを行い、分解効率を確認したところ1時間以内に迅速なタンパク質の分解が確認された。そこで、目的であるSTAG2のC末端に対してタグ付けを行ったところ、ノックイン自体はうまく行くもののOSTIR1のリークによると考えられる分解により、非分解時にも著名にタンパク質レベルの減少が観察された。またSTAG1, STAG2特異的なクロマチン結合部位を観察するためにHiChIPを行った。予備実験段階ではH3K27acに着目し、エンハンサーを中心とする空間的相互作用の濃縮に成功した。しかし、百万細胞スケールの実験では、STAG1、STAG2を中心とした相互作用を検出するには、相互作用の頻度、もしくは抗体の親和性が不十分であったためか、十分解析に足るデータが得られなかった。 次年度(2022年度)には、方向性を切り替えまずはSTAG1ノックアウトならびにSTAG2ノックアウトの表現型の解析を重点的に行った。まず、scRNA-seqを行い、どのようにlineageが分化してくかの違いを解析した。すると、STAG2では生殖細胞分化効率が低下する一方で、STAG1ノックアウトでは生殖細胞分化効率が増加することが明らかになった。面白いことに、他の系譜への細胞分化は野生型と同様に起こることも明らかになった。またSTAG1ノックアウト、STAG2ノックアウトの胚性幹細胞を用いてHi-Cを行い、クロマチン高次構造の変化を解析し、STAG1ではCTCFのインスレーションが強固になっていることも観察された。 今後は、エンハンサープロモーター相互作用に着目したより高解像度の解析を行っていきたい。
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Research Products
(6 results)