2021 Fiscal Year Research-status Report
変異プロファイリング法を用いたRNA-タンパク質相互作用解析法の開発
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21K20638
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山上 龍太 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (70767227)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | RNA / RNAシーケンス / 変異プロファイリング / tRNA / tRNA修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、次世代シーケンサーを用いたRNAの網羅解析法を開発し、RNAの配列・構造とRNA成熟化酵素の相互作用を詳細に解析することで、RNAによる遺伝子の発現制御メカニズムの一端を明らかにしようとするものです。近年の研究より、RNAの配列や構造因子は、多くの遺伝子の発現を調節することが明らかになっています。その一方で、RNAは、転写後にプロセシングやRNA修飾などの様々な成熟過程を経て、その機能性を獲得します。しかしながら、RNAの配列と構造がどのようにしてRNA成熟化酵素と相互作用し、どのようにRNA成熟化機構の制御に関わるのか、そのメカニズムは、未解明です。そこで、本研究では、RNA修飾酵素やプロセシング酵素と基質RNAとの相互作用をハイスループットに解析する技術を開発します。本技術によって、RNAの配列や構造を介したRNA成熟化反応の制御機構とそれによる遺伝子発現調節機構を探ります。2021年度は、以下の成果が得られました。 (1)RNAータンパク質の相互作用を一塩基の分解能で検出するハイスループットtRNAシーケンス法を開発しました。 (2)tRNAメチル化酵素の遺伝子発現系を構築し、tRNAメチル化酵素の精製方法を確立しました。 (3)本研究で開発した技術を用いて、240種の変異tRNAを一挙に解析し、tRNAメチル化酵素がどのようにして、基質tRNAを認識しているのかを明らかにしました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を概ね順調に進展していると評価できます。その理由として、当初の計画通り、tRNAーtRNA修飾酵素の相互作用部位をハイスループットに検出する方法を開発し、その技術を用いて、tRNAメチル化酵素が基質になるtRNAとならないtRNAをどのように区別しているか、その詳細なメカニズムを明らかにできたことが挙げられます。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、本研究で開発した技術を様々なことに応用します。具体的には、当研究室で保有しているtRNA修飾酵素を用いて、試験管内でハイスループットアッセイを行います。この時、反応条件を細かく検討し、細胞内条件と非細胞内条件で、どのようにtRNA修飾酵素の性質に影響するかを検討する予定です。すなわち、細胞条件がどのようにtRNA修飾酵素の酵素学的性質に影響するかを明らかにします。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた状況として、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、分子生物学会への出張をキャンセルする必要がありました。そのため、旅費として計上していた助成金の一部が使用できず、翌年度分として、使用することになりました。本変更による研究遂行への影響は全くありません。繰り越した助成金は、翌年度の物品費として使用する予定です。
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