2022 Fiscal Year Annual Research Report
Revealing the mechanism behind pronuclear selection in Tetrahymena thermophila
Project/Area Number |
21K20643
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
明松 隆彦 日本大学, 文理学部, 助教 (90906637)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | テトラヒメナ / 繊毛虫類 / 配偶子 / 核 / 核膜 / 運命決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
繊毛虫類テトラヒメナは、単一の細胞内に機能の異なる2種類の核(大核・小核)を保持している。有性生殖が始まると、生殖核である小核に減数分裂が起こり、4つの等価な半数体小核が作られる。これらのうち、受精可能な配偶核へと成熟するのは1核だけで、他の3核は自食作用によって分解される。本研究の目的は、選択的な配偶核の成熟に関わる遺伝子を明らかにし、繊毛虫類が進化の過程で獲得したユニークな配偶子形成様式の分子基盤を理解することである。令和4年度は、配偶核に特異的に局在するタンパク質Semi1に親和性をもつタンパク質Dear3が現れるタイミング、並びにその機能について解析を行った。 Dear3の一次構造には、Semi1に見られるような膜貫通ドメインが予測されない。しかしながら令和3年度の研究から、両タンパク質が配偶核の核膜に共局在すること、並びに両遺伝子の破壊株が共に配偶核成熟不全の表現型を示すことが分かっている。そこで令和4年度はまず、両タンパク質の発現量の変動を調べ、Dear3の発現がSemi1よりも数時間遅れて始まることを明らかにした。次に、Semi1遺伝子破壊株におけるDear3の挙動を観察したところ、Dear3は核膜への局在を示さず、細胞質に散在することが分かった。これに対し、Dear3遺伝子破壊株におけるSemi1の挙動には異常が認められず、核膜に正常に局在することが分かった。これらの結果は、Dear3の局在化にはSemi1の核膜局在が必須であることを示している。また、受精に必要なタンパク質Zfr3の配偶核への局在化もSemi1依存的であり、一方でDear3の発現を必要としないことが分かった。以上から、膜タンパク質であるSemi1は、配偶核の運命遂行に寄与する多くのタンパク質の足場であると考えられ、その1つであるDear3は、配偶核の成熟に特化した機能をもつことが予想された。
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