2021 Fiscal Year Research-status Report
尿揮発成分の網羅的分析と機械学習による簡便な癌患者診断法の開発
Project/Area Number |
21K20652
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 航 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70908300)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 早期癌診断 / 尿揮発性成分 / 機械学習 / ガスクロマトグラム質量分析 / ガスセンサ / 脳腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳腫瘍は発見後の5年生存率が特に低い腫瘍の一つである。この原因の一つとして、脳腫瘍は主に、患者に脳卒中などの症状が現れた後にMRIなどの高価な画像診断法によって初めて発見され、発見時には治療困難な状態まで成長・拡散が進行している場合が多い事が挙げられる。そのため、通常の健康診断で利用可能な低コスト・簡便・迅速な脳腫瘍診断ツールの開発が強く望まれている。しかし、そのような診断ツールは殆どなく、実用されているものは存在しない。申請者は2021年度、非侵襲的に取得可能で管理も容易な尿検体に着目し、尿中揮発性成分群を利用した脳腫瘍の診断手法開発を行った。健常者と脳腫瘍患者の尿中揮発性成分をガスクロマトグラフ質量分析計によって測定し、得られた保持時間×マススペクトル×強度のデータを二次元画像に変換後、画像処理を施した。この画像データ群を元に作成した機械学習診断モデルを利用することで、健常者と患者を100%の精度で判別することに成功した。また、判別において重要度の大きかった画像領域を抽出することで、脳腫瘍のバイオマーカー候補化合物の同定に成功した。これらの結果から、尿揮発性成分群の利用は脳腫瘍診断をする上で有望である事がわかった。2022年度は、ガスクロマトグラフ質量分析計の代わりに、より迅速・簡単に測定が可能な小型ガスセンサアレイを用いて脳腫瘍診断実験を行なう計画である。また、その後、同様の手法で肺癌など他の癌種の患者も一網打尽に判別する事を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度、ガスクロマトグラフ質量分析と機械学習を利用することで、尿揮発性成分から健常者と脳腫瘍患者を100%の精度で判別する事に成功した。また、より迅速・簡単に同様の判別を行うために小型ガスセンサの利用を計画しているが、そのための予備実験が順調に進行しつつある。したがって、研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、ガスクロマトグラフ質量分析計の代わりに小型ガスセンサアレイを用いて、高精度で健常者と脳腫瘍患者を判別する。その後、同様の手法を用いて、尿揮発性成分から脳腫瘍患者だけでなく肺癌・膵臓癌など他の癌腫の患者も含めて一網打尽に識別する事を目指す。
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Research Products
(4 results)