2021 Fiscal Year Research-status Report
群体性ボルボックス目緑藻精子束から解き明かす多数の真核生物鞭毛の協調運動
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21K20661
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
鹿毛 あずさ 学習院大学, 理学部, 助教 (10748809)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 真核生物鞭毛 / 暗視野顕微鏡 / 位相差顕微鏡 / 共焦点顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は群体性ボルボックス目緑藻Pleodorina starrii精子束の運動の定量的記載を試みた。 赤色照明下で性誘導していない群体(個体)と精子束の遊泳を比較したところ、観察した範囲(数百μm四方)では群体も精子束もおおむね直線的な運動を示した。精子束の遊泳は平均300 μm/s程度で群体より速く、体長で正規化すると群体の3倍ほど速かった。 暗視野顕微鏡とハイスピードカメラで鞭毛運動を可視化すると、精子束は鞭毛を前側に遊泳し、「頭頂部」から側方に波が伝わる平泳ぎ様の運動を示した。精子束が分解した精子は鞭毛打タイプの運動を示した。一方で群体の鞭毛は他のボルボックス目緑藻で報告されているのと同様に繊毛打タイプの運動を示し、精子の運動はこれに対して特徴的であるといえる。 個々の精子は運動が遅く、鞭毛運動の解析が比較的容易であるが、精子束の状態では遊泳が速く、顕微鏡の視野からすぐいなくなるため鞭毛運動の詳細な解析が難しい。精子束の状態で鞭毛運動を詳細に解析するため、ガラスピペットで吸い付けて位置を固定する系を構築した。精子束を捕まえることには成功したが、用いている位相差照明では鞭毛の画像のコントラストが弱く、照明方法を検討中である。 鞭毛の密度を可視化・比較するため、群体と精子束を抗アセチル化チューブリン抗体を用いて免疫蛍光染色し、共焦点顕微鏡で観察した。群体に比べて精子束では鞭毛が空間的に高密度に分布していることがわかった。さらに、従来、精子束は2のn乗個の精子で構成されていると言われていたが、ヘキストで核を染色して核の数を計測したところ、必ずしも2のn乗個ではないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精子束遊泳の基礎的なデータを取得でき、鞭毛運動観察系の構築を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 精子束の状態での鞭毛運動を定量的に解析するため、鞭毛運動観察系の照明の改善を行い、精子束と単体精子の鞭毛運動を比較する。 (2) PIVによる周囲流れ場解析を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、学会出張を行わなかったため、旅費支出が当初計画より大幅に少なくなった。次年度の物品費等として使用する。
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