2021 Fiscal Year Research-status Report
カジリムシ目昆虫における外部寄生性の進化に伴う形態変化の解明
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21K20677
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
島田 潤 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, アソシエイトフェロー (00910259)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | チャタテムシ / 小型化 / 単純化 / 寄生性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 本研究ではコナチャタテ亜目コナチャタテ科から2種、コナチャタテ亜目コナチャタテ科以外から2種、コチャタテ亜目から2種、チャタテ亜目から2種ずつを研究に用いる予定である。本州及び北海道の野外でフィールドワークを行い、屋外生活性のチャタテムシ類のサンプリングを行った。また、東京文化財研究所で飼育しているヒラタチャタテの個体群の一部をサンプルとした。種数に関しては、これらのサンプリングにより本研究で予定しているすべての種類のチャタテムシ類をサンプリングすることができた。 2. 本研究ではチャタテムシ類における小型化・単純化の解明を目的としている。チャタテムシ類の中で最も小型化・単純化していると考えられ、本研究のカギとなるコナチャタテ科の1種において光学顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡、および電子顕微鏡を用いた外部形態の観察を行った。その他のチャタテムシ類においてもサンプリングされたものから順次観察を進めている。 3. 内部構造の観察のため、大型放射光施設SPring-8のマイクロCTにて得られるデータから昆虫の体の3次元立体モデルを作成(3D構築)し、観察・比較を行う予定である。この作業はPCに高付加をかける長時間の作業となるため、効率的に研究を進めるためには処理能力の高い高性能なPCが必要になる。3D構築に用いる高性能なPCを購入し、SPring-8にて得られるマイクロCTデータの解析環境の整備を行った。また以前にSPring-8にて撮影されたチャタテムシ類に近縁なシラミ類のマイクロCTデータを用いて3D構築にかかる時間や作業効率の確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響で予定していた出張に行くことができなかった。また大型放射光施設SPring-8で試料を撮影するための2022年前半の応募に出すことができなかったため、2022年後半の応募に出すこととなり、やや遅れていると状態であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
SPring-8のマイクロCTによる撮影ができるように実験計画の申請を行っている。SPring-8のマイクロCTによって得られるデータから3D構築を行い、内部構造の観察を行う予定である。また電子顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡を用いて外部形態の観察を行う予定である。研究に用いるサンプルに関しては予定しているすべての種数をサンプリングすることができているが、複数の観察方法に用いるための個体数が足りていないため、前年に継続してサンプリングを行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスに伴う制限により予定していた出張に行くことができなかった。また、購入予定だったサンプリング用具を使用する機会がなく購入を見送った。これらにより次年度使用額が発生した。 今年度は共焦点レーザー顕微鏡での観察、SPring-8での撮影、サンプリングによる旅費とサンプリング用具、SPring-8用大容量記憶媒体・試料作製用器具等の物品費に使用する予定である。
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